2014年10月2日木曜日

嘉平、編集やめるってよ

タイトルはふざけていますが、ふざけた話ではありません。



10月に入って情報公開制限が解けたので、書きます。

株式会社KADOKAWAは、9月末をもってアスキーブランドの書籍を作っていたいくつかの編集部を廃止・解散しました。これに伴い、私(鈴木嘉平)が編集長を務めていたハイエンド書籍編集部も解散しました。この件について、株式会社KADOKAWAからは特にアナウンスなどは行わないということです。

誤解しないでいただきたいのですが、これはアスキーの本がなくなるということではありません。週刊アスキーもASCII.jpも存続していますし、これからもアスキーの雑誌・書籍は発売されます。また、9月までに刊行された本は今後も継続して販売されます。

ただ、これまでよりも刊行点数は少なくなるでしょうし、私が作ってきたような技術書が出版されるかどうかはわかりません。少なくとも、ハイエンド書籍編集部から10月以降に刊行するはずだった企画はすべて中止になっています。



編集者になって27年、アスキーに入社して22年、そのキャリアのほとんどをプログラマ/システムエンジニアのための雑誌・書籍の企画・編集に費やしてきました。それも今日で終わりました。今となっては、ただただ自分自身の力不足を感じるばかりです。

原稿を書いてくれた著者の皆様、翻訳をしてくれた翻訳者の皆様、そしてなにより本を買ってくれた読者の皆様、長い間ほんとうにありがとうございました。心から感謝しています。

今後、KADOKAWAという会社の中で私がどのような職につくのかまだ何も決まっていませんが、たぶん編集職を離れることになるでしょう。自分の卑小さを噛みしめるような毎日ですが、身の振り方がきまったならばこのブログで報告したいと思います。

もしもどこかで私の顔を見かけたら、声でもかけてやってください。最後にもう一度、皆様長い間ほんとうにどうもありがとうございました。




2014年9月30日火曜日

プロフェッショナルのための実践Heroku入門


すでに発売済みだが「プロフェッショナルのための 実践Heroku入門」という本を出したので、遅ればせながら紹介しておく。

この本は、日本におけるHerokuのエバンジェリストである相澤歩さんを中心に、RailsGirlsの主催者でもある万葉の鳥井雪さん、Rubyのコミッターでありベテランのライターでもあるartonさん、さらにHerokuのテクニカルサポートエンジニアである織田敬子さんを加えた4人によって執筆されたHerokuの入門書である。執筆陣からもわかるとおり、ほぼ公式といってよい内容になっている。

書評もいくつか出ていることもあり、詳しい内容については割愛するが、Herokuの概要からアプリケーション開発方法、本番環境への移行のやり方、トラブルシューティング、Herokuのアーキテクチャまでをギュッとコンパクトにまとめている。特に7章のトラブルシューティングは、実際にHerokuのオフィシャルサポートに寄せられたトラブルを元に執筆されているので役に立つこと請け合いである。また、最後の9章には、Herokuのサービスの背景になっているモダンなウェブアプリケーションを開発・運用する際に考慮する必要のあるアーキテクチャをまとめたTwelve Factor Appの翻訳が掲載されている。



さて、この本を作るにあたり、著者陣と話し合ってある手法を試している。海外のいくつかの出版社では、執筆途中の書籍をベータ版として電子書籍の形で発売し、読者のフィードバックを受けて内容を加筆・修正していくという方法が取られているが、これを日本でもやってみたのだ。

達人出版会の協力を得て、2013年5月にベータ版電子書籍を発売した。その後、2014年8月までに3回のアップデートを経て、2014年9月22日に正式版の発売となった。この間に寄せられたフィードバックを元に、加筆・修正、さらに構成の見直し等を行っている。

ベータ版の販売数が思ったほど伸びなかったとか、フィードバックを寄せてくれる読者の数が少なかったということはあったものの、実際にフィードバックを寄せてくれた読者の方々はとても熱心に細かい部分まで見てくれていて、ほんとうにありがたかった。心から感謝している。

今後日本でもこのような手法が広まるかどうかはわからないが、海外ではすでに定着しているし、有効だという手応えは感じたので、他の出版社の編集者にもぜひ採用を検討していただきたいと思う。





Kindle版






2014年8月20日水曜日

魚のテリーヌ?



写真はイメージです(笑)


食品偽装とかそんな話をしていて、ちょっと昔の話を思い出したので。

もう10年以上前の話だが、知人の結婚式に妻と二人で出席したことがある。会場は地方のホテルで、まぁそれなりに高級そうなところ。式も滞り無く終わり、宴席となった。

フランス料理のフルコースというので、正直ちょっぴり期待していた。なにせ、そんな料理にはとんと縁がない人間なので。お品書きというのか、メニューというのか、これから出てくる料理が書かれた紙がテーブルに置かれていて、ますます期待が高まる。

で、その前菜のところに「魚のテリーヌ」というのがあったわけだ。うん。で、出てきた魚のテリーヌなんだが、丸い大きめの白い皿の真ん中に慎ましやかなひとかけらが鎮座していて、皿の周りに野菜がちょっぴり乗っている。まぁ、フランス料理らしい飾り付けで、それはいい。問題は真ん中に鎮座している魚のテリーヌだ。

これ、色といい、艶といい、形といい、どう見てもかまぼこにしか見えない。

不審に思って周りを見渡すと、結婚式に招待された皆さんがナイフとフォークを使って神妙にこの「魚のテリーヌ」を食べている。誰も疑問に思わないのか? これ、かまぼこでしょ! という、頭の上にクエスチョンマークが飛びまくる状態なのだが、誰も騒がず、キョロキョロしているのは私だけだ。隣では、妻が黙ってナイフとフォークでこの「魚のテリーヌ」を食べているし。仕方がないので、自分でもナイフとフォークで食べてみたよ、魚のテリーヌ。

口の中に広がる香りといい、味といい、プリプリとした食感といい、これかまぼこだよ、かまぼこ!

どうして誰も何も言わないの? なんで皆おすまし顔でナイフとフォークでかまぼこ食べてるの? おかしいよ! ついにがまんできなくなって、隣の妻の耳に顔を近づけて、

「これ、かまぼこだよね」

と言ったところ、妻がすごく怖い顔をして、

「そういうことを言うんじゃない!」

と囁いた。怒られてしまったので、仕方なく黙って食べたけど、ありゃあ、かまぼこだよ、かまぼこ! 「魚のテリーヌ」なんて料理じゃないよ、かまぼこ買ってきて、切って皿に盛り付けただけだよ。それともフランス料理には、かまぼこそっくりの味のする「魚のテリーヌ」という料理があるの? 私が知らないだけ? そんなわけないよね。

今だったら、食品偽装で訴えられるんじゃないかと思うんだが。あのホテルの「魚のテリーヌ」、今はどうなっているんだろう?



2014年7月31日木曜日

AWSを超える?!『Google Compute Engine入門』発売開始!


Google Compute Engine入門
」本日発売開始。Googleが昨年末からサービスを開始したGoogle Compute Engineの日本最初の解説書! 本当は世界初を狙っていたのだけど、Packt Publishingから昨年9月に"Instant Google Compute Engine
"という本が出版されているので、世界初にはならなかった。でも、Packtの本は60ページしかないものなので、まともな本としては世界最初と言ってもいいと思う。少なくともO'Reilllyの"Google Compute Engine
"には勝ったな(発売時期だけは)。



著者は吉積情報株式会社の吉積礼敏さん。吉積さんは、下記のGoogle Cloud Platformの資格(5種類)すべてを日本人として初めて取得したという人物。


  • Google Compute Engine Qualified Developer

  • Google Cloud Storage Qualified Developer

  • Google App Engine Qualified Developer

  • Google Cloud SQL Qualified Developer

  • Google BigQuery Qualified Developer


さらに、つい先日、2014 Google Enterprise Japan Partner AwardのGoogle Cloud Platform部門を受賞された! Googleの中の人を除けば、今日本で一番GCEに詳しい人だ。



それでは、日本で一番GCEに詳しい人が書いた本の内容を簡単に紹介しよう。

第1章は、GCEを含むGoogle Cloud Platformの全体像、IaaSとは何か、さらにGCEの概要を説明している。

続く第2章は、GCEを用いてプロジェクトを開始する方法について、ツールのインストール方法から使い方まで具体的に解説している。

第3章は、管理用WebコンソールであるGoogle Developers Consoleおよびコマンドラインツール、さらにGoogle Compute Engine APIについての解説に加え、詳細なコマンドリファレンスが掲載されている。

第4章は、とても大事な課金の話。GCEを使った際にどれくらいお金がかかるのか、どう見積もればよいのかということが述べられている。

第5章には、たぶんクラウドを活用しているエンジニアが一番知りたいと思っているだろうAWSとの比較が掲載されている。アーキテクチャ、リージョン、課金額など、少ないページ数ながら濃い内容となっている。お茶目な著者がさりげなくベンチマークなどもやっているので、担当編集者としてはドキドキする章だ。業界の人たちが皆大人で、何事もありませんように! 手が滑って「AWSを超える?!」とか表紙に入っているけど、ちゃんとクエスチョンマークとビックリマークが入っているので、断定していないってところをわかってほしい。皆、わかるよね!

第6章は追加情報、第7章はGoogle Colud Platformのその他の機能について解説している。最後の第8章では、著者が参加したGoogle I/O 2014の話も含め、将来を展望している。



Googleが開始したIaaSであるGoogle Compute Engineの概要をつかむには最適な本だと思うので、ぜひ書店で手にとって見てほしい!





Kindle版もあります!





2014年7月26日土曜日

iPhoneアプリで稼ぐノウハウ本を読んでみた


プログラムもできない僕はこうしてアプリで月に1000万円稼いだ
」という本を読んでみた。翻訳書で、原著は"App Empire: Make Money, Have a Life, and Let Technology Work for You
"という本。原著は、amazon.comの読者レビューで105人が評価して星4つと好評化だが、翻訳版はamazon.co.jpで1人だけがレビューしていて、星3つ。翻訳書のレビューはあまりよくなくて、「さほど目新しい事はありません」とか「今のアプリマーケーットでは非現実だと思います」とか書かれてしまっている。

内容としては、iPhone用アプリビジネスで成功するためのノウハウをまとめて伝授するというもの。若干自己啓発書的な匂いがするものの、まじめに書かれた良書だと思う。

著者自身がプログラミングスキルをまったく持っていないため、ビジネスとしてiPhoneアプリをどう作り、どうメンテナンスして、どう利益を上げるか、という話が書かれている。iPhoneアプリとかいうと、すぐにXcodeだとか、Objective-Cがどうしたとか言っている私のような人間にとってはかなり新鮮な内容だった。

アプリのアイデアを出すために、まずはアップストアとそこで売れているアプリをよく見ろ、というところから始まり、成功しているアプリの模倣できる点は模倣するようにとも書かれている。「え〜!」とか言いたくなってしまうが、利益をあげることを考えるなら当然のことなんだろうなぁ。アプリの機能をどう実現するかみたいな話はまったくないが、アプリのアイコンやタイトル、アップストアに登録するキーワードや説明、画面ショット、カテゴリーなどをどうすべきかという話はたっぷりある。

さらに、アプリのダウンロード数を毎日見ながら、アプリのアイコン、タイトル、キーワード、説明、画面ショットなどなどを1つずつ変更しては、ダウンロード数の変化を観察し、最大化するようにと述べられている。当たり前といえば当たり前かもしれないが、こういう地味な作業をきちんとやるのはたいへんだし、実際にやっている人は案外少ないような気がする。

先にも書いたように著者がプログラマではないため、開発およびメンテナンスのためのチームを作ることが前提になっていて、1人でちょろっとアプリを作って小遣い稼ぎみたいな本とはかなりテイストが異なる。どのようにプログラマを探し、優秀かどうかをどう見分けるか、デザイナーやプロジェクトマネージャーをどうするか、などなど、人にまつわる話もしっかり書かれているし、複数のアプリを開発・メンテナンスしていくためのバックエンドシステムの開発話まで出てくる。遊びではなく、本気でアプリビジネスを始めようと思っている人には、かなり実践的なノウハウ本と言っていいと思う。

amazon.co.jpのレビューのように、今のアップストアでは、これだけでは稼げないのかもしれないが、少なくともこの本に書かれている程度のことをやらなければ、話にならないだろう。iPhoneアプリを作ってみたけど、まったく売れないという人は読んでみて損はしないと思う。




以下、自分用のメモ。

『プログラムもできない僕はこうしてアプリで月に1000万円稼いだ』チャド・ムレタ著 児島 修 訳


  • アプリビジネスの本質は「ユーザーが他者とつながり情報を得るために、どのようにこの技術を使うか」を知ること

  • 仕事が楽しくてたまらない、そう思えるようになれば、あとはスキーリフトに乗っているかのように、"現金の山"を目指して、自動的に登っていける

  • 「90/10の原則」人生の10%は、何が起こるかでで決まる。残りの90%は、それにどう反応するかで決まる。

  • 自分の時間と意欲をすり減らすものは、すべて外注すべき

  • 大局を俯瞰し、マーケットを研究し、ユーザーのように考え、成功者を模倣する

  • アップストアの解析ソフトChomp

  • ユーザーが衝動買いをする際の流れ


    1. アップストアでアプリを見つける

    2. アプリのアイコンを見る

    3. タイトルと概要、他者の評価に目を走らせる

    4. 画面を下にスクロールして、ざっと説明に目を走らせる

    5. 画面ショットに目を止める

    6. アプリを購入する


  • ユーザーはダウンロードしたアプリを使い始めて30秒以内に「面白い」と感じなければ、アプリを終了して二度と使おうとしない

  • 「10/30の原則」ユーザーが検索から10秒以内にそのアプリを買いたいという衝動を感じ、最初に30秒以上使い続けたら、長期的な顧客になってくれる

  • 成功するアプリの特徴


    • 楽しい/娯楽的な要素がある

    • 直観的/単純で使いやすい

    • ユーザーを惹きつける/魅力的

    • 中毒性

    • 価値/メリットがあると実感させる

    • 異文化横断的

    • 優れたグラフィックとサウンド

    • 口コミ


  • 熱意を目標達成のための仕組みに結び付けなければならない

  • 売れているアプリを模倣する

    自分アイデアがすでに他社のアプリによって実現されていたとしても、気落ちする必要はない。それは、マーケットがそのアイデアを求めていることを意味する。むしろ歓迎すべきことだ。

  • すでに成功しているものを見つけ、それを改良して提供する

  • 大きな需要のある分野でアプリを作る

  • 既存のアプリから学ぶ


    1. ユーザーはなぜこのアプリを購入しているのか?

    2. アイデアを模倣して、さらに高いレベルのアプリを開発できるか?

    3. このアプリのユーザーは、他にどのようなアプリを好むか?

    4. 他の類似したアプリは、マーケットにどの程度あるか?

    5. このアプリは、過去にどの程度、どれくらいの期間、売れているのか?

    6. マーケティング戦略と価格設定モデルはどのように機能しているか?


  • ユーザーを惹きつけるため、アプリにドレスを着せる

  • アイコン、タイトルは覚えやすく、アプリの特徴や機能をはっきりと表すものにする

  • 画面ショットにグラフィックや宣伝文、操作説明などを加える

  • キーワードを決める際には次の3点を注意


    1. 対象のユーザー層

    2. ユーザーがアプリを使う目的

    3. ユーザーが求めている機能


  • 無料バージョンを公開したあと、1〜2週間をかけてマーケット調査を続ける


    • 3〜5回、アイコンと画面ショットを変える

    • タイトルと説明は5〜10回変える

    • アップデートするときは、毎回キーワードも変え、必要ならカテゴリーも変える

    • 一度に多くの変更はしない。何が効果をもたらしたのかわかりにくくなる


  • ダウンロード数はトラフィックとして考える

  • トラフィックが下がっていたら、その理由を考え、向上させるための手立てを講じる

  • アプリをランク入りさせるためのあらゆる手立てを講じる。ランク入りしたあとも順位を常にチェックし、下がってきたら原因を検討し、手を打つ

  • Flurryを用いて、アプリ内でのユーザーアクティビティを追跡する

  • 毎日収入を管理し、日、週、月、四半期の傾向を把握する。収入の傾向に変化を見つけたら、すぐに原因を突き止め、対策を講じる。

  • 統計用ツールとして、アップルデベロッパーポータルを使う。App Figuresおよび類似サービスのApp Annie

  • 変更は1つずつ個別に行い、その結果をテストしていく

  • 効果を見極める期間は1周間が適切

  • タイトル、キーワード、説明、カテゴリーの変更にはお金はかからない。まずここから始める。

  • 変更点を記録し、その後の変化を追跡する

  • 変更間利用の表(appempire.com/trackchanges)

  • 改善を行っても3ヶ月〜4ヶ月改善が見られなければ、見切りをつける

  • 複数のアプリのネットワークでアクティブユーザーを互いのプロモーションに活用する

  • 「お勧め画面」アプリの起動時に有料版の宣伝をする

  • アップストアにアップデートを提出しなくても、お勧め画面を更新できるようにする

  • お勧め画面には、表示・非表示を切り替える機能をつける

  • 定期的にお勧め画面を見直し、クリック率を上げるための施策を施す

  • 有料版では、お勧め画面機能をオフにする

  • 同じデベロッパーあるいは提携する他のデベロッパーのアプリの宣伝をするプロモページを作る

  • アップストアで使われている、ライトグレーとダークグレーのバナーの背景色が最も効果的

  • バナーの位置が高いほど売上が高い

  • 「続き(More)」ボタンをアプリのメインページやメニューセレクションに表示して、プロモページに誘導する

  • プッシュ通知を用いて、ユーザーのスマフォにメッセージを送り、アプリを起動するかメッセージを破棄するかを求める。アプリの存在をユーザーに思い出させる(使い方は慎重に)

  • アップデートはできるだけ頻繁に行う

  • 毎日こう自問する「トラフィックからお金を得るために、もっと良い方法はないだろうか?」

  • 3つの収入モデル


    1. フリーモデル

      有料アプリのお試し版としての無料アプリ

    2. プレミアムモデル

      アップストアにおける有料アプリの販売

    3. フリーミアムモデル

      アプリ自身は無料だが、アプリ内課金で利益を出す


  • アプリに広告を表示するには、アップルのiAd、googleのAdMob、Millennial Mediaがある。これらのすべてを使う

  • Googleのadwhirl(アドワール)を使えば、複数の広告プラットフォームに対し、広告リクエストをシームレスに送信できる

  • アフィリエイト代理店、アメリカはLinkShare、欧州はTrade Doubler、オーストラリアはDGM

  • ローカライズは既存のアプリを用いてトラフィックと収入を得るための常套手段

  • ローカライズの注意点


    1. 目的言語を母語とする翻訳者に仕事を依頼する

    2. 対象国に合わせた表現にする

    3. 主要なマーケットに絞って翻訳する

      おもなマーケット:アメリカ、中国、イギリス、カナダ、ドイツ、フランス、スペイン語圏


  • アプリをアップグレードする、高度機能を搭載したバージョンを提供する、外見をリフレッシュする

  • 新しいアプリを開発し続ける

  • アプリビジネスのさまざまなプロセスを自動化し、最適化するためのバックエンドシステムを開発する

  • データベースにお勧め画面、プロモページ、海外向けアフィリエイトリンク、他言語化した文字列などを格納する

  • アプリには、地域と言語を認識する機能を入れる。起動時にユーザーの地域・言語を取得し、バックエンドから必要な情報を取得する

  • 売却を前提に、アプリを買い手にそのまま渡せるように開発する

  • ビジネスの重要な部分だけを監視し、残りはアウトソースする

  • ビジネスを成長させていきながら、自分自身の仕事を増やさないようにする

  • チームを作って実現する

  • 人に仕事を任せるかどうかの判断基準


    • 自分がビジネスのボトルネックになっていないか?

    • 他の誰かができる仕事に時間をとられていないか?


  • アプリビジネスの7つの柱


    1. 心構えと勝者のマインドセット

    2. 市場調査

    3. アプリの開発とメンテナンス

    4. 分析と調整

    5. マーケティングとマネタイゼーション

    6. チームとシステム

    7. 同業者の人脈


  • 7つの柱を確認するために、それらを日課にして、習慣化してしまう

  • その日に行うべきタスクのリストを作る時間をとり、できたらプロジェクトマネージャーに伝え、チームに実行させる





2014年7月20日日曜日

アナと雪の女王を見た


注意! 若干ネタバレあり!



世間で大いに話題になっているのは知っていたけど、人が騒げば騒ぐほど興味がなくなるというひねくれた性格なので見に行かなかったのだが、上映がそろそろ終わるという今になってやっぱり見ておかないと後悔するんじゃないかという気持ちになったので見てきた。2D字幕版。3Dにすればよかったかな、まぁ、よしとしよう。

ところで、このアニメ、ミュージカルだったのね。大ヒットしているLet It Goはただの挿入歌だと思っていたので、本格的なミュージカルだったのにはびっくりした。Let It Go以外の曲もなかなかよかった。

ストーリーは、まぁ安心なディズニークオリティ。たいして悪い人もでてこないし、悲劇もなし。両親が死んでしまうのは悲劇だけど、さらっと流して、悲劇として描かない。

女性に受けたのは、自分の持つ力を恐れ、両親に言われたとおりに人を避け、城に閉じこもっていたエルサが、自分を認め、その力を開放して美しい雪の女王になっていく姿なんだろうなぁ。Let It Goを歌いながら氷の城を作り上げていくシーンは、開放感と喜びにあふれている。

ところで、エルサが城を逃げ出して雪山を彷徨うシーンを見てリア王を思い出したのだけど、そんなことを思うのは私だけ? 特に雪だるまのオラフが出てきたときには、荒野を彷徨うリア王に付き従う道化だって、強く感じたんだけど。

エルサがリア王で、オラフが道化、アナがコーデリアだよね? 違う?

あと、しょうもない王子が自分には12人兄がいるって言っているのは、自分は13番目のユダだって言っていたわけだよね。これ、見ているときは気が付かなくて、帰りの電車で気づいた。にぶすぎるな、自分。

音楽がすごく気に入ったので、帰りにTower RecordによってサウンドトラックのCDを買ってきた。デラックスエディションの2枚組で、日本語吹き替え版の歌も入っている。あと、マルチランゲージバージョンという、いろいろな言語のメドレーになっているLet It Goも入っている。日本語版も案外よくて、現在ヘビーローテーション中。







追記と訂正

ずいぶん前にartonさんに「ユダは13番目の弟子ではない、ユダも含めて12使徒」だと指摘されていたのだけど、ちょっとWikipedia「イスカリオテのユダ」で調べてみた。


なお、ユダは12番目の使徒であり[1]、彼が裏切りの末死んだためにマティアが新しい12番目の使徒となった[2]のであって、イスカリオテのユダを第13使徒とするのは誤りである。


また、同じくWikipediaの13(忌み数)にも、ユダを13番目の弟子とするのは俗説だと書かれている。この解説には、


北欧神話では、12人の神が祝宴を催していた時に、招かれざる13人目の客としてロキが乱入した。このロキがヘズをたぶらかしてバルドルを殺害させており、後に起こるラグナロク勃発の起因となった。キリスト教神話においては、サタンを13番目の天使であるとする設定があり、これは土着神話のキリスト教化の中で北欧神話の話を元に生まれたとされる。このことから、英語では13のことを「悪魔のダース」(devil's dozen)とも呼ぶ。


とも書かれていて、ユダとサタンが頭のなかでごっちゃになっていたのかもしれない?

とりあえず、ユダを13番目の弟子だというのは間違いだったので、訂正しておきます。すみませんでした。


2014年7月7日月曜日

ゴジラ60周年記念デジタルリマスター版を見た




オリジナルのゴジラがデジタルリマスター版として劇場公開されると知って、ぜひ見たいと思っていたのだが、いつのまにやら公開されていて気がついたら関東ではあとわずかで終了してしまうではないか。しかも品川プリンスシネマでは、1日に1回(12時15分〜)しか上映していない! というわけで、日曜日にあわてて見に行ってきた。

オリジナルのゴジラは、たしか小学校1年生のときにテレビで放映されたのを見たはずだ。暗い部屋で一人でテレビを見ていて、おもしろいというよりも怖かったのを覚えている。

50年近くを経て、再度見た感想を言うなら、第二次大戦直後の日本の世相を色濃く反映した映画だったんだなぁということ。セリフにも、「長崎の原爆を生き延びた大事な体なんだから」とか、倒壊するビルの下敷きになりそうになった母子が「お父さんのところに行くのよ」など、戦争を感じさせるものが少なくない。また、ゴジラの被害者が運び込まれる野戦病院の描写がやけにリアルだ。考えてみれば、製作者も出演者もついこの間経験したことを撮っているわけだから、リアルなのも当然だ。これはフィクションじゃない実際にあったことだ、と思ったらちょっぴり涙が出た。

ゴジラの名前が大戸島に伝わる伝説の生き物の名前から付けられたとか、ゴジラに光を当てると怒るとか、忘れていたことも多かったな。

ゴジラを倒すオキシジェンデストロイヤーを発明する芹沢博士のマッドサイエンティストぶりもなかなかだ。眼帯姿、謎の洋館の地下の実験室と、フランケンシュタインそのもの。この人、最初から最後まで悲壮感が漂い続けている。

映画も最初から最後まで暗いトーンで、笑える箇所がない。水爆に代表される核兵器に対する恐怖、戦争に対する恐怖が強く感じられる。巷に伝えられるとおり、ゴジラは反戦・反核映画であって、いわゆる怪獣映画ではなかった。福島原発事故、集団自衛権など、ゴジラ初公開から60年を経て、日本もずいぶんきな臭くなっている。この時期にこの映画を見ることができてよかったと思う。

品川プリンスシネマでは、11日まで上映されているので、見たい方は仕事をさぼってGo!

品川プリンスシネマ http://www.princehotels.co.jp/shinagawa/cinema/




2014年6月29日日曜日

Founders at Work 33のスタートアップストーリー


気づけば、すでに25年以上にわたって編集者をやっている。これまでかなりの数の本を出してきたわけだが、そんな本の中から思い出深い本を紹介していこうと思う。まずは1冊「Founders at Work 33のスタートアップストーリー」だ。

Amazon絶賛品切れ中!




この本の原著が出版されるのを知ったのが2006年の10月、すぐに版権を取得しようとしたのだが、他社も版権取得を申し出たため入札となり、アスキーはこの入札に敗れてしまった。自分としては限界まで前払い印税を積み上げたつもりだったのだが、他社はそれを越える金額を提案したのだろう。ということで、残念なことにアスキーからはFounders at Workを出せなくなってしまった。原著は無事に2008年に刊行され、私は他社から翻訳書が出版されるのを待ち続けた。しかし、どうしたものかいつまでたっても翻訳書が出版されない。

いったいどうしちゃったんだろうと思っていたところ、2010年のFrankfurt Bookfairで原著版元の版権担当者から「Founders at Workの版権を取得した出版社が刊行を中止したので、アスキーで版権買わない?」と言われてびっくり仰天! いったいどういうことだと版権担当者を問い詰めても「そんこと言われたって知らないよ、わけがわからないのはこっちだよ」と言うばかり。まぁ、とにかくこれはチャンスだと、すぐさま企画を通して版権を取得した。翻訳は実績のある長尾高弘さんにお願いし、2011年の8月末には店頭に並べることができた。


さて、ではそうまでして出したかったFounders at Workがどんな本かというと、IT系ベンチャー企業のスタートアップ時に何か起きていたのかを創業メンバーにインタビューしてまとめた読み物だ。こう書くと単なるビジネス読み物だと思うかもしれないが、そうじゃない。この本の肝は、著者のJessica Livingstonだ。彼女は何者か? なんと「ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち」の著者として、またベンチャーキャピタルY Combinatorの創業者としても知られるPaul Grahamの奥さんだ。彼女はY Combinatorの共同創業者でもある。Paul Grahamの奥さんが書く本が、ただのビジネス書なわけがない。そう直感して、この本をアスキーから出すことを決めた。

本書の序文はもちろんPaul Grahamが書いている。ここで彼は、初期のスタートアップが一般に信じられている企業のイメージから大きくかけ離れていること、スタートアップが通常の企業よりもずっと大きな生産性を持っていること、だがそのことを知っている人はほんの少数しかいない、ということを述べている。彼自身もスタートアップを成功させ、ベンチャーキャピタリストになった人物だ。少し序文から引用しよう。


私たちが作ったスタートアップでは、外からお客さんが来るときには、自分たちが「プロフェッショナル」っぽく見えるようにあれこれ努力したものだ。事務所の掃除をして、いつもよりよい服を着て、世間一般の勤務時間に合わせて多くの人々が集まるように調整をしたのである。実際には、きちんとした服を着た人間が世間並みの勤務時間にきれいなデスクで作業をしても、プログラミングは進まない。ひどい服装の(私はタオル一枚でプログラミングをするというので悪名が高かった)人間が、ゴミだらけの事務所で午前2時頃にするから進むのだ。


このPaul Grahamの文章を読めば、プログラマが成功するためになすべきことは何かすぐにわかる。真夜中に全裸でプログラミングだ! 必要な物は股間を覆うタオル一枚だけ。今夜からすぐに実践できるだろう(笑)。

冗談はさておき、本書が目指しているのは、世間からはデタラメにしか見えないスタートアップの状態こそが、最も高い生産性を発揮できるのだということを世間に知らしめることだ。真のスタートアップの姿を知るほんの少数の人たちと、一般の企業しか知らない大多数の人たちのギャップを埋めることが本書の目的である。序文の最後の文章を引用しておく。



スタートアップが会社っぽく見えるように努力をするのではなく、既存企業がスタートアップ風に見えるように努力する時代がすぐにやってくるだろう。それはよいことだ。


この本は、ぜひともプログラマに読んでほしい本だ。インタビューを受けている大半の人物は、プログラマでありエンジニアであって、経営者ではない。プログラマであれば、彼らのインタビューから数多くのことを感じ取り、また学ぶことができるだろう。下記に本書で取り上げられている33のインタビューを簡単にまとめておく。


  1. Max Levchin, PayPal創業者

    インターネット上の送金システムの定番となったPayPalの話。もともとは送金システムに興味があったわけではなく、暗号とセキュリティに興味があった。結果的にそれがインターネット上での安全な送金システムを可能にしたという。

  2. Sabeer Bhatia, Hotmail共同創業者

    企業に在籍しながら、独立起業するために個人用データベースソフトの開発を行っていた際、在籍していた会社がファイアウォールを張ったおかげでメールを見ることができなくなってしまった。この問題を解決するためにWebブラウザから電子メールにアクセスできるようにするというアイデアが浮かんだ。

  3. Steve Wozniak, Apple共同創業者

    言わずと知れたAppleのSteve Wozniakのインタビュー。Apple創業前の話も数多く出てくる。アルテアをホームブリュー・コンピュータ・クラブで見た際、すでにアルテアと同等のコンピュータを自分用に作っていた、ただしマイクロプロセッサがなかったので複数のプロセッサを組み合わせて利用していたという。すべてを独学で学んだこと、Basicの開発、Apple IそしてApple IIの開発など興味深い話が多い。一部引用しよう。


    アップルIIはこれらのものをすべて持っており、バグは1つも見つかっていません。ハードウェアにもソフトウェアにも1つのバグもないのです。


  4. Joe Kraus, Excite共同創業者

    今はGoogleの一人勝ちになっているインターネットの検索エンジンを開発した会社。Microsoftが買収を提案しながら、結局買収もせず、検索エンジンの自社開発もしなかった話、エスケープ社のブラウザのデフォルト検索エンジンに選ばれる話など、興味深い。

  5. Dan Bricklin, Software Arts共同創業者

    世界最初のスプレッドシートソフトウェアであるVisiCalcの開発秘話。VisiCalcのアイデアが「数字を操作できるワードプロセッサ」だったとか、「多くの人々は、スプレッドシートは行と列だと思っていますが、実際には違います。スプレッドシートは、単語と数値の2次元レイアウトなのです」といった発言には興味深いものがある。大成功を成し遂げたあとに、訴訟によって没落していく姿はちょっとせつない。

  6. Mitchell Kapor, Lotus Development共同創業者

    VisiCalcの後に世界を席巻したスプレッドシートソフトウェアであるLotus 1-2-3の開発秘話。Mitchell KaporがVisiCalcの作者たちと知り合いで、なおかつ彼らのソフトウェア開発を手伝っていたというのには驚いた。ある意味、Lotus 1-2-3はVisiCalcの改良版だったわけだ。インタビューの後半はLotusが成功した後に経営者として苦悩した話になっている。Lotus 1-2-3のルック・アンド・フィールをコピーしているとして他社を訴えた件については今でも後悔していると述べている点に、彼の人柄が感じられる。

  7. Ray Ozzie, Iris AssociatesおよびGroove Networks創業者

    Ray Ozzieと言えば、Lotus Notesの開発者として、またMicrosoftでBill Gatesの後任として主席ソフトウェア設計者(CSA)になった人物として有名だ。ここでは、Lotus NotesとGroupという2つのコラボレーションツール開発の話をしている。

  8. Evan Williams, Pyra Labs/Blogger.com共同創業者

    このインタビューには出てこないが、Evan Williamsと言えば現在ではTwitterの共同創業者として知られている人物だ。典型的なシリアルアントレプレナーと言える。プロジェクト管理用コラボレーションソフトウェアを開発している際に社内ツールとして作ったものが後にBloggerになった。さまざまな理由から資金がつき、社員を全員レイオフして、運転資金をBloggerのユーザから寄付してもらうなど、興味深い話が多い。

  9. Tim Brady, Yahoo!最初の社員

    Yahoo!の共同創業者であるJerry Chih-Yuan Yangの大学時代のルームメイトで、Yahoo!のビジネスプランを書いた人。競合他社との競争やサーチエンジン採用、初期の頃に停電に対応するため発電機を借りてきてサーバを維持した話など。

  10. Mike Lazaridis, Research in Motion共同創業者

    日本では結局メジャーになれずに終わったブラックベリーを開発したのがRIMだ。高校でプログラミングと無線について学んだ際に、教師から「コンピュータと無線を結びつけるのが次の大きな仕事だ」という話を聞いていたというのは興味深いエピソード。ブラックベリー開発初期の話で、

    市場がまだブラックベリーを受け入れられる状態になっていないことを知っていたので、市場に合わせるための仕事に大量の時間を注ぎ込みました。後にブラックベリーになるものにページャー(日本のポケベル)のふりをさせたのです。

    というのは、聞けば当たり前の戦略のように思えるが実際にはなかなかできないことだろう

  11. Arthur van Hoff, Marinba共同創業者

    Sun Microsystemsからスピンアウトしたベンチャーの話。彼らがSunをやめる際、CEOのScott G. McNealyはこう言ったそうだ。「わかった。みんなが出て行ってしまうので、君たちの幸運を祈ることはできないが、1つだけ言いたいことがある。ぶざけんなよ。」創業時の女性CEOばかりがマスコミから注目されて困ったという話もおもしろい。

  12. Paul Buchheit, Gmailの作者

    Googleの23番めの社員で、Gmailを作ったプログラマ。有名な「邪悪になるな(Don't be evil)」という標語を提唱した人でもある。Gmailの最初のバージョンは彼が一人で1日で作ったそうだ。Googleアドセンスのプロトタイプも一人で1日で作ったとか。また、当時のGoogleは自分たちがサーチ専門の会社だと思っていて、Gmailのような製品を作ることには懐疑的だったという話も興味深い。

  13. Steve Perlman, WebTV共同創業者

    会社を立ち上げたばかりの頃には、2日間ぶっつづけに働き、4時間寝て、また2日間働くという生活で、事務所はまるで豚小屋だったとか。ソニーのCTOにプレゼンする際に、ぎりぎりまでクラッシュばかりしていたプログラムを再ビルドしたものがたまたまうまく動いたとか、ベンチャーらしい逸話が多い。

  14. Mike Ramsay, TiVo共同創業者

    最初のアイデアはホームネットワークサーバだったが、時期尚早と考え、DVRにまとを絞って開発したという。一般のユーザにもっとも高い評価を得たのは、放送中の画面を一時停止できる機能だったとか。最初はメディア企業から敵とされたものの最終的にはうまくやれたというのだが、なぜうまくいったのかは「今になってもよくわからない」とか。

  15. Paul Graham, Viaweb共同創業者

    夫であるPaul Grahamへのインタビュー。オンラインストアをWeb上で簡単に構築できるストアビルダーを開発したViawebの話。この後、ViawebをYahoo!に売却して得た資金をベースにY Combinatorを始めることになる。最初のプロトタイプは、共同創業者であるRtmのアパートで夏の真っ盛りに2日間で完成させたという(タオル一枚だったかも)。このプログラムはWeb上で動作する最初のアプリケーションであり、そのアイデアはX Window Systemからきているそうだ。つまり、ブラウザをX端末として使うというもの。Paulのインタビューはハッカーらしい発言が多くておもしろい。「Windowsソフトウェアというのは、でかくてほかほかしているウンコのようなもので避けるに越したことはないと思っていました」とか「ビジネスパーソンのなかの1人が本当にCEOになって、私たちに戦略はかくあるべきなどと命令する気になったらたいへんです。彼らはコンピュータについて何も知らないので、私たちはボロボロになってしまいます」とか。最後にもう1つ引用しておく。「私たちがフレッド・イーガンを見つけたときにも、買収したいという会社が現れました。それは日本企業で、後に私たちのソフトウェアの模倣品を作って、日本で大成功を収めています。名前は楽天です。」

  16. Joshua Schachter, Delicious創業者

    ソーシャルブックマークサービスの草分けであるDeliciousの話。タグ付けというアイデアを思いつき、最初に実装したという。ニューヨークの銀行や金融機関には優秀なハッカーが多くいる、という話も興味深い。

  17. Mark Fletcher, ONElist/Bloglines創業者

    今はもうなくなってしまったBloglinesの話。ニュースアグリゲーターであるBloglinesは、ブログが始まったのとほぼ同時に作られたという。ブログがこれほどのスピードで普及するとは考えていなかったそうで、幸運としか言いようがないとか。投資家から「私はコミュニケーション能力が低いという烙印を押されていました」というのはプログラマにはありがちな話か。

  18. Craig Newmark, craigslist創業者

    craigslistは、サンフランシスコから始まった、広告などのローカル情報を掲際するコミュニティサイトだ。もともとはCraigが配信していたメーリングリストだった。他のスタートアップとは異なり、craigslistは投資家からの投資を拒否し、株式の非公開を貫いている。

  19. Caterina Fake, Flickr共同創業者

    元々はオンラインゲームを開発していたが、このゲームに付加した写真共有付きのチャット機能がゲーム以上に人気を博したことからオンラインゲームをほったらかして、写真共有コミュニティサイトを作った。タグ付け機能がFlickrの性格を革命的に変えたという。女性だという理由で差別されることもあったようだ。

  20. Brewster Kahle, WAIS/Internet Archive/Alexa Internet創業者

    WAISはWeb登場以前に作られたインターネット・パブリッシング・システムだった。また、インターネットをソフトウェアの流通システムとして考えた最初の会社がWAISだった。フリーソフトウェアをうまく使っている点も興味深い。Alexaを作ったとき、彼はインターネットのサーチエンジンはスケールしないと考えていたそうだ。そのため、Alexaをインターネットの道案内として構築しようとしたと。さらに、ネットの図書館としてInternet Archiveを非営利団体として作り上げている。

  21. Charles Geschke, Adobe Systems共同創業者

    ゼロックスのPARCでInterpressというプリンタ用の言語を開発したが、ゼロックスがこれを商品化しなかったためAdobeを創業してInterpressの後継言語であるPostScriptを開発した。ゼロックスの経営陣は「ゼロックスでは、製品を出すまでに少なくとも7年はかかる」と言ったそうだ。Adobeというのは、彼の家の裏を流れていた川の名前だ。スタートしたばかりの頃に、最初に作ったビジネスプランに従おうとしてPostScriptをソフトウェアとして販売しようとしなかった話はおもしろい。このビジネスプランを変更したおかげで、Appleのレーザーライターが完成する。当時、Apple最強のコンピュータと呼ばれたプリンタだ。ここにアルダスのページメーカーが加わって、DTPが始まることになる。さらにレーザーライターとPostScriptの力を引き出すソフトウェアとして、IllustratorとPhotoshopが開発される。Apple、Microsoftとのビジネス上の逸話も興味深い。

  22. Ann Winblad, Open Systems/Hummer Winblad共同創業者

    PC以前のミニコンピュータ用の会計システムを開発した。ミニコンピュータが市場から消えた後には、PC用の会計システムに移行している。初期のMicrosoftのBasicは会計システムを作るには弱すぎたので、他のインタープリタを使ったそうだ。

  23. David Heinemeier Hansson, 37signalsパートナー

    DHHの名前で知られるRuby on Railsの作者だ。Rails開発の話も含め、37signalsでの仕事ぶりが語られる。37signalsはexitを目指していないため、スタートアップではない。むしろスモールビジネスを目指す企業だろう。37signalsについては「小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則」に詳しい。

  24. Philip Greenspun, ArsDigita共同創業者

    成功したスタートアップが、投資家と揉め、裁判になったあげくに結局は倒産してしまう話。日本にもこの手の話はすくなくないが、読んでいてつらい話しだ。

  25. Joel Spolsky, Fog Creek Software共同創業者

    Joel on Software」の著者として知られる人物。コンサルティング会社をまず成功させ、そのコンサルティング会社の中にソフトウェア会社を作るというアイデアを実現しようとした。プログラマがスターになる会社を作りたかったという。Fog Creekは社外からの投資を受け入れず、株式の非公開企業として続いている。

  26. Sephen Kaufer, TripAdvisor共同創業者

    TripAdvisorは、ユーザーのレビューを投稿として受け入れるオンラインのトラベルコミュニティとして世界最大のものになっている。自分自身の旅行の経験から、旅行に必要な情報を手軽に集められる旅行に特化したサーチエンジンを開発した。データベースはWebをクロールするのではなく、雑誌などから手作業で情報を集めて構築したという。ユーザーが書き込むレビューと旅行業者の問題なども興味深い。

  27. James Hong, Hot or Not共同創業者

    Hot or Notは、ユーザーが投稿した自分の写真に他のユーザーが点数をつけてホット度を評価するというもの。最初は遊びで始めたが、初日からアクセスが殺到し、スケールさせるために多大な苦労を強いられることになる。Hot or Notをはじめてから、あまりルックスを重視しなくなったというのはおもしろい話だ。

  28. James Currier, Tickle創業者

    ビジネススクールの授業で性格テストを受けた際、その後2週間にわたって授業を受けた生徒たちが性格テストについて話をしているのを見て、性格テストは強力なメディアになると考えた。そして、性格テストを道具にデジタルメディア会社を起業する。

  29. Blake Ross, FireFox作者

    Netscapeでインターンシップとして働いたとき、まだ14歳だっという! FireFoxがInternet Explorerに対抗するものではなく、AOLによってねじ曲げられたNetscapeに対して、本来だったらこうなったはずだというブラウザとして作られたというのは興味深い話だ。FireFoxの元のプロジェクト名であるフェニックスは、Netscapeの灰からの再生を目指してつけられたという。

  30. Mena Trott, Siz Apart共同創業者

    ブログソフトの定番として一世を風靡したMovableTypeの作者。フリーソフトウェアとして公開していたがゆえに起こる問題などについても語られている。

  31. Bob Davis, Lycos創業者

    カーネギーメロン大学で開発されたサーチエンジンを買収して創業された企業。Lycosはブランドの確立に力を入れ、インターネットの初心者ユーザーに道順を示す存在になろうとしたという。

  32. Ron Gruner, Alliant Computer Systems共同創業者/shareholder.com創業者

    Alliantで並列スーパーコンピュータを開発し、Alliantが倒産した後に業務プロセスの自動化を目指してshareholder.comを起業した。並列スーパーコンピュータ開発の話と、後に倒産にいたる話はなかなか興味深い。

  33. Jessica Livingston, Y Compinator共同創業者

    著者本人のインタビュー。今では、IT業界で最も有名なベンチャーキャピタルになったと思われるY Combinatorの起業時の話。この本の執筆開始と同時期に起業していたというのにはちょっと驚く。Y Combinatorのコンセプトは、少数のスタートアップに投資をして、法的に会社として成り立っていけるようにすることだという。つまり、創業を助け、製品についてともに考え、もっと多額の資金を援助できる投資家に彼らを紹介することだ。Y Combinatorが起業家たちとどのように仕事をしているかについても、触れられている。Y Combinatorについては「Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール」を読むのがいいと思う。



さて、簡単だが取り上げられているトピックの紹介を終わろう。プログラマの諸君、タオルの用意はできているかな?(笑)次は君の番だよ!





2014年6月24日火曜日

「フルスクラッチから1日でCMSを作る シェルスクリプト高速開発手法入門」刊行!




シェル芸の伝道者こと元USP研究所の上田隆一さん、FreeBSDの使い手であり和太鼓の演奏者でもある後藤大地さんの共著である「フルスクラッチから1日でCMSを作る シェルスクリプト高速開発手法入門」をついに刊行する。7月2日発売!

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この本は、私が今まで作ってきた本の中でもかなり異色な本といえる。なにせ著者の上田さんが謝辞に「このような掟破りなものを出版する機会を作っていただいた......」などと書いているくらいだ(笑)。簡単に内容を紹介すれば、シェルスクリプトを使ってCMS(Content Management System)を作っていく過程をステップバイステップで解説した本、ということになるが、単純にソースコードを掲載してその動きを説明したものではない。たとえば、CMSに必要なデータをテキストファイルとしてファイルシステム上にどのような形で構築するのか、その際にプログラマが何を考え、どのように判断するのか、という思考過程がちゃんと書き込まれている。

また、単に動くものを作るだけではなく、パフォーマンスを計測して改善するという点についても解説されている。このとき、テスト用のダミーデータをシェルスクリプトで作る方法についても述べられていて、なかなかに実践的だと思われる。

ちなみに本書で解説しているbashCMSというCMSは、実際にUSP友の会のWebサイトで使われているものがベースになっている。シェルスクリプトの解説のために作られたサンプルではなく、実運用を前提に作られたプログラムの内容を解説しているわけだ。bashCMSはGithubで公開されており、MITライセンスが設定されているのでだれでも自由に使うことができる。


これだけだと、よくできた普通の解説書のように思われるだろうが、そうじゃない。たとえば、普通のシェルスクリプトの入門書に丁寧に説明されているwhileやらforなどのループ処理について、「そんなもの使うんじゃねーよ」と書いてある(かなり乱暴にまとめているので誤解なきよう)。さらに、通常であれば、似たような機能が複数箇所で必要になったら関数にまとめましょう、とこれまた丁寧に説明されているものを、「関数なんかにまとめずコピペしようぜ」と書いてある(繰り返しますがかなり乱暴なまとめです)。さらにさらに、普通の解説書ならば、プログラミングする際にはソースコードの再利用を必ず考えましょう、と書かれているはずだが、本書には「コードを再利用するより書き直したほうが早いだろ」と書いてある(同上)。

正直、読んでいてたまげた。私は二十数年間にわたってIT系の編集者をしているが、今までは「プログラムの構造化は重要です」とか、「情報隠蔽とカプセル化を用いてプログラムの部品化を進めましょう」とか、「同じようなコードがあちこちに出てくるのは典型的な悪いコードです」とか、そんなことが書いてある本を作ってきたのだ。まさかこんなことが書いてある本を出すことになろうとは、思いもしなかった。人生なにが起こるかわからない。

どうして著者の上田さんが上記のようなことを書いているか知りたくなったら、ぜひとも本書を読んでほしい。きっと、目からウロコが落ちまくるか、あるいは間違った考えに洗脳されるに違いない(笑)。

とにかくこの本は読んでいて楽しいので、シェルスクリプトが好きな人、UNIX好きな人にはお勧めだと言える。私が特に好きなのは、6章の「シェル芸でログの集計」という章だ。ここでは、長いシェルスクリプトを作る際に、1つ1つの機能をまずはワンライナーとして実装し、その動きを確認しながらシェルスクリプトを組み上げていく過程が解説されている。名人の技が次々と開陳されていくのを眺めているようで、実に楽しい。ぜひ一度目を通してほしい。

あと、お勧めなのが、章末に入っている後藤大地さんのコラムだ。UNIX系OSのディープな部分にちょっぴり踏み込んだ、興味深い話が展開されている。inodeを使い切る話とか、ディスクキャッシュを利用したシェルスクリプトの書き方とか、実におもしろい。


本書を編集して、改めてシェルスクリプトの強力さ、UNIXのソフトウェアツールという考え方のすばらしさを痛感した。まずソースコードが短い。当たり前といえば当たり前なのだが、他のスクリプト言語ではこうはいかない。ソースコードが短ければ、それだけ理解しやすくなるし、作る時間も短くてすむ。これは他の言語にはない、シェルスクリプトの大きな大きな利点だ。また、データをRDBMSなどに収録せず、テキストファイルとして保持する手法についても、データ構造のわかりやすさ、そしてデータをプログラムから操作する際の柔軟さという点で、感心させられた。

なんかもう他の言語なんていらないじゃん、プログラム作るなら全部シェルスクリプトでいいじゃんみたいな気分になっている。どうもシェル芸人上田隆一に洗脳されてしまったらしい(笑)。

さてさて、名著と呼ばれるか迷著と呼ばれるか、怖いもの見たさあふれる方はぜひ本書を手にとって見てほしい。では、最後に上田さんが「怖いもの見たさあふれる人」に送った言葉を引用して本エントリを終わりたいと思う。

こわくないよ。



2014年6月19日木曜日

改訂新版 コンピュータの名著・古典100冊





昔インプレスから出ていた「改訂新版 コンピュータの名著・古典100冊」という本があるのだけど、達人出版会から電子書籍の配信が始まったらしい。facebookでこのお知らせを見て、ちょっと思い出したことがあるので書いておく。まぁ、つまらない自慢話なので、読まないほうがいいかも。

この本は、すでに他界された東京大学名誉教授の石田晴久先生が中心となって、コンピュータ名著読書推進委員会のメンバーとともに、コンピュータ分野に興味を持つ若いエンジニア・大学院生・大学生・高校生の読書の指針となるよう、100冊の良書を選んで紹介したというものだ。

紹介されている100冊のうち、21冊がアスキーの本で、これは他の出版社に大差をつけてのダントツトップ。まぁ、老舗の面目躍如というか、過去の栄光というか、嬉しいようなとっても哀しいような、複雑な気分になる。

で、この21冊のうち8冊が私が企画して出した本だ。「なんだつまらん」という声が聞こえてきそうだけど、まぁそう言わずに。下記にあげたのが、私が企画した本のリストだ。全部翻訳書なのがあれだし、編集長職が忙しくて実際の編集作業を部下にまかせたものも入っているけど、細かいことは気にせずに紹介しておく。



  1. UNIXの1/4世紀 (Ascii books)

    これは、UNIX業界の歴史を描いた珍しい本の翻訳。内容はおもしろいのだけど、翻訳に若干問題があって何人かのUNIXハッカーから怒られた。申し訳ございません。

  2. フリーソフトウェアと自由な社会 ―Richard M. Stallmanエッセイ集

    これを出した当時、アスキーはFree Software Foundationの日本における公式の出版社で、この本もその流れで出版したもの。Stallmanのエッセイで、Free Software/Open Sourceに関わる人にはぜひ読んでもらいたい本。早く電子書籍を出さないとなぁ。

  3. ハッカーズ大辞典 (Ascii books)

    Eric S. Raymondが編纂したThe New Hacker's Dictionaryの翻訳版。数多くの技術者から、海外の文献やブログを読むときの必需品だと言われた本。

  4. Lions' Commentary on UNIX (Ascii books)

    UNIX Version 6のカーネルソースコードに1行ずつコメントをつけて解説したという幻の本の翻訳書。この本については、いろいろ思い出があるので、いつかブログに書こうと思う。

  5. プログラミング言語C++ (アスキーアジソンウェスレイシリーズ―Ascii Addison Wesley programming series)

    言うまでもないビヤーン・ストラウストラップのC++本。これは第3版だが、第4版は別の出版社から出るはず。

  6. プログラミング作法

    カーニハンとパイクによるプログラミングの指南書。日本語タイトルの「作法」は普通に「さほう」と読む。木村泉先生が翻訳した「ソフトウェア作法」では「さくほう」と読ませているが、編集部でタイトルを決める際、私が「ソフトウェア作法」を読んだことがない人でも読めるように「さほう」に決めた。

  7. 文芸的プログラミング (ASCII SOFTWARE SCIENCE Programming Paradigm)

    クヌースのLiterate Programmingを含む論文集の翻訳書。この本を作る際、スタンフォード大学を訪ねて、クヌース教授に会って話せたのはいい思い出。

  8. The Art of Computer Programming (2) 日本語版 Seminumerical algorithms Ascii Addison Wesley programming series

    同じくクヌースのThe Art of Computer Programmingの翻訳書。当時のアスキーで、この本を出したことが評価されて社長賞をもらったんだよなぁ。う〜ん。



以下のリストは、私が企画した以外のアスキーのタイトル。



  1. ワークステーション原典

  2. インターネットの起源

  3. 新装版 計算機屋かく戦えり

  4. アラン・ケイ (Ascii books)

  5. 実録!天才プログラマー (マイクロソフトプレスシリーズ)

  6. マイクロソフト―ソフトウェア帝国誕生の奇跡

  7. ビーイング・デジタル―ビットの時代

  8. やさしいコンピュータ科学 (Ascii books)

  9. はじめて読むマシン語―ほんとうのコンピュータと出逢うために

  10. オブジェクト指向スクリプト言語 Ruby (ASCII SOFTWARE SCIENCE Language)

  11. UNIXプログラミング環境 (海外ブックス)

  12. TEX(テック)ブック―コンピュータによる組版システム (アスキー・電子出版シリーズ)

  13. プログラミングWindows第5版〈下〉Win32 APIを扱う開発者のための決定版! (Microsoft Programming Series)



ちなみに「改訂新版 コンピュータの名著・古典 100冊」には、版元であるインプレスの本は1タイトルも選出されていない。これ、豆知識ね。






2014年6月11日水曜日

ヤングギター創刊45周年記念特別増大号がすごい!



自分が担当している書籍も無事に入稿したので、久しぶりに本屋さんの棚を眺めていたところ「YOUNG GUITAR (ヤング・ギター) 2014年 07月号」が目についたので手にとったところ、やたらに分厚い。私の記憶にある厚さの2倍以上もある。この雑誌不況の時代にどうしたことかと思ったら、創刊45周年の記念特別増大号なんだとか。ヤングギターが45年も続いている雑誌だとは知らなかったが、とりあえずおめでたいので買ってきた。



で、久しぶりにヤングギターを読んでみたのだけど、これがすごい。まず表紙のギタリスト。誰かと思ったら高崎晃だよ。いつのまに髪の毛短くなったんだ? 金髪だし。最初の特集記事ももちろん高崎晃のインタビュー。う〜ん、なんか新作「ザ・サン・ウィル・ライズ・アゲイン~撃魂霊刀:デラックス・エディション(初回限定盤)(DVD付)」を出して、もう一度ラウドネスで世界進出を図るとか、元気でがんばっているのはいいんだけど、数十年前に同じようなことを聞いたような気が......。まぁ、いいか。

次の記事はアーチ・エネミーだ。こちらも新作「ウォー・エターナル (初回限定盤)」を出したということでギタリスト二人にインタビュー。ずいぶんメンバーチェンジがあったみたい。そう言えばアーチ・エネミーって聴いたことがなかったなぁと思ってYouTubeで聴いてみたけど、女性ボーカリストがデスヴォイスをかましたので、すぐに止め。デスヴォイスは趣味に合わん。

次の記事がまたびっくり。ブライアン・セッツァーじゃないか! 年取ったなぁ、彼がデビューしたときは若者が流行遅れのリーゼントをきめてロカビリーをやるというので、話題になったけど。ロカビリーをやってもなんの違和感もないおっさんになっちゃったなぁ。

次はTOTOだ! スティーブ・ルカサー少し太った? 久しぶりに「TOTO IV~聖なる剣」でも聴こうかな。Africaが聴きたいな。

お次はカーカスだけど、私は聴いたことないな。なんでも昨年リリースした「サージカル・スティール」はメタル史上に残る傑作だとか。今度聴いてみよう。

ジョン・メイヤーの来日公演レポートは1ページしかない。若手ブルースギタリストと言っていいのかな? ジョン・メイヤーも以前から気になっているギタリストだけど、まだ真剣に聴いたことがない。最新作は「Paradise Valley」かな。

次はナイト・レンジャーだよ、ナイト・レンジャー! まだがんばっているんだ。新作「ハイ・ロード(初回限定盤)(DVD付)」出してるよ!

次の記事でぶっとんだ! ジョニー・ウィンターだよ! まだライブを演っているんだ。記事のなかに「立って演奏ができなくても、歩く姿は弱々しくても、一度ギターを手にすればその追求をやめることはない」とか書いてある。それでも新作「STEP BACK」を今年9月に出すとか、すごいな。この新作にはエリック・クラプトン、ジョー・ペリー、ジョー・ボナマッサなどがゲスト参加しているとか。これは聴かないとだめだ。しかも、彼のドキュメンタリー映画「JOHNNY WINTER: DOWN & DIRTY」が完成したそうで、レディー・ガガも参加した上映会ではスタンディング・オヴェーションが起きたとか。この映画、日本でも上映してくれるのかなぁ。絶対上映してほしい、見たい!

お次は、スキッド・ロウ。「往時と変わらぬアグレッションとより円熟味を増した」って、そりゃああいつらは変わらないよ。最新作は「United World Rebellion-Chapter One」で、3部作の第1弾だそうな。

続いてブラック・スター・ライダーズ、知らないなぁと思ったら、シン・リジィの変名バンドだとか。全然知らなかった。フィル・ライノットが死んで、リジィは完全に終わったと思っていた。スコット・ゴーハムがギターを弾いているよ。以前フィル・ライノットの生誕何周年だか、没後何周年だかのイベントにでたスコット・ゴーハムの演奏がヘロヘロだったという噂を聞いたのだけど、だいじょうぶなのか?

次はジェフ・コールマン、よく知らない。

で、NAONのYAON 2014のレポート。これって、SHOW-YAがプロデュースしている女性ロッカーのイベントだよね。いろいろ出ているけど、知らない人ばっかりだな。「貫禄に満ちたSHOW-YAの演奏」って見出しがあるけど、そりゃあ貫禄あるでしょう。久しぶりに「限界LOVERS」でも聴くか。DVDの新作が出ているね。「歴代シングル全曲披露!暴れ倒し GIG! [DVD]

なんかアルディアスっていうキャバクラのお姉ちゃんみたいな人がやっているバンドがでているけど、これはなに? 新作「Dazed and Delight(DVD付)」もあるらしい。いいの?

モノクロページに移って最初の記事が、オズ・ノイ。イスラエル出身の変態ギタリストだそうで。変態って言われてもなぁ。ちゃんと日本でもアルバム売っているね。「トゥイステッド・ブルーズ Vol.2」誰にもまねできないブルースって、どんなんだろう。ちょっと気になる。

さて、J&Kという私の全然知らないギターデュオ。エレクトリックの新作「J&K~Electric Stage~」とアコースティックの新作「J&K~Acoustic Stage~」を同時に出したそうで。

クラシックギタリストも出ているんだ。木村大。ポップスや映画音楽の名曲をクラシックギターで再現した新作「ONE」を出したとか。

ここまでで、ギタリストが直接出てくる記事は終わりなわけだけど、取り上げられているギタリストの平均年齢っていくつだ? 50歳を超えているんじゃないだろうか? どこが「ヤング」ギターなのかと思ってしまうのは私だけ? 私が学生時代に読んでいたときと、出てくるギタリストがほとんど変わっていないような気がする。う〜ん。

あとは歪み系のエフェクターの記事。

さて、本誌のメイン、45周年記念の記事が出てくるわけだけど、まずは「ギター英雄伝」。ヤングギターが創刊された1969年から現在までのギタリストとテクニック・機材の変遷をまとめている。これを見ていくと、私は80年代まではほとんど知っていて、90年代から怪しくなり、2000年代に入るとほとんどわからなくなる。私は1961年生まれなので、30代後半から40代に入る頃に新しい音楽を追いかけなくなったということなのかな。

この号にはDVDが2枚付いているのだけど、「The Masters 45」というDVDと連動した記事が本誌のメイン記事だろう。ヤングギターの過去のDVDに出演したギタリストから45人を選抜して、再収録している。450を越えるリックが収録されているそうで、本誌にはその譜面が掲載されている。分厚くなるわけだ。久しぶりにギターを弾きたくなるなぁ。

さてさて、ざざっとヤングギター創刊45周年記念特別増大号を見てきたけど、驚くのはなんといっても登場するギタリストの年齢の高さ。20年くらい前から登場するギタリストが変わっていないんじゃないだろうか。音楽雑誌を読むのはおっさんだけだという話は聞いてはいたけど、ここまであからさまだとは思っていなかった。びっくり。要するに読者の要求に応えていたらこうなった、ということだろうからこのままいくしかないんだろうなぁ。

考えてみれば、高校生の息子の口からも、大学生の甥っ子の口からも、ロックという言葉は出てこない。気がつかないうちに、ロックは年寄りの音楽になっていたわけだ。

ということで、そこのあなた、50代のロックなあなたにお勧めですよ。ヤングギター!(笑)