2014年5月23日金曜日

「なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?」を読んだ


技術評論社から出ている
なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか? ~「時間ない病」の特効薬!タスクシュート時間術
」を読んでみた。この本、進捗の鬼こと技術評論社の傳 智之さんが編集したもの。いつも仕事が時間どおりに終わらない私のための本だろう、ということで熟読。


まずは仕事が滞る原因がいろいろ挙げられているが、気になったのは下記の3点。


  • 日頃から繰り返していることをつい優先してしまう(やりなれないことは先送りしてしまう)

  • 予定があれば、その前にも予定がある(準備にかかる時間を無視してしまう)

  • 生きるために必要な時間は思っているより長い(14時間くらいあるのに無視してしまう)


たしかに、今までやったことのない仕事ややり方が変わった仕事を先送りしてしまうのはよくあるし、何時からミーティングということは予定に入れていてもそのミーティングのために必要な準備をする時間は予定に入れていないことが多い。睡眠とか風呂に入るとか、そんな時間はいっさいスケジュールに入れていないが、そういう仕事ではないが必要なことが仕事に使う時間を消費してしまっているのを感じることはある。


さて、これらを解決する方法として本書が提案しているのが、タスクシュートという時間術だ。タスクシュートの基本は下記の5つ。


  • 1日の仕事を1つのシートで管理する

  • これからやる仕事のリストとこれまでにやった仕事のリストを一元管理する

  • 1分以上かかる仕事はすべて管理する

  • すべての仕事の見積もり時間を出す

  • 1日の仕事がすべて終わるのが何時になるのか、見積もり時間を積算して予測し、リアルタイムに把握する


特徴的なのは、1日のシミュレーション(仕事の見積もり)と実際に行った記録を一度にやるというところだろう。割り込みで入った仕事についても、

  1. 割り込まれたらやっていたことを中断した記録を残す

  2. 新たにスタートさせた割り込み仕事の記録をつける

  3. 中断した仕事に戻るという記録を残す


という3段階で記録をつけるようになっている。自分自身が脱線してしまった場合(ネットサーフィンを始めてしまったとか)も、同じように記録を残す。休憩なども含めて、すべてのログを残すようにする

こうすることで、1日の時間帯からなにをやっていたのかわからない時間をなくすようにすることを目指している。実際、いつのまにか時間が過ぎてしまったということは少なくないので、これが実現できればすばらしいことだ。しかし、このように仕事を見積もり、仕事の開始・終了時刻をログに残していくというのは、かなり面倒な作業になる。使い勝手のいいツールがなければ、とてもできないだろう。少なくとも私には無理だ。


そこで登場するのが、その名もTaskChuteというソフトウェアなのだけど。これがねぇ。有料版のTaskChute2を購入して使ってみたのだけど、私にはだめだった。このソフト、Excel上で動くアプリで、Excelの使い勝手の悪さがそのまま出てしまっている。Excelが好きな人には使いやすいものなのかもしれないが、Excelが好きではない私には無理。

お金を払って購入したものだし、なんとか使いこなそうと数日がんばってみたものの、挫折。私が使えなかった理由は次のとおり。


  • ユーザーインターフェイスがExcelそのもの(Excel上のアプリだから当たり前だけど)で使いにくい

  • Windows上のExcelでしか動かない(MacのExcelでは動かない)

  • スマートフォン、タブレットなどとタスクを共有できない


特にWindows上のExcelでしか動かないというのは私にとっては致命的、タスク管理ソフトなのだから、会社・自宅・移動中にもタスクの共有ができてほしい。時間管理術としては効果が期待できそうだし、今後、Webアプリとして作り直してくれることを強く希望したい。


TaskChute情報サイト:http://taskchute.net/

シゴタノ!(著者が参加しているサイト):http://cyblog.jp/modules/weblogs/




kindle版もある





2014年5月18日日曜日

Fluentd Meetupに行ってきました


5月13日に六本木ヒルズクロスポイントで行われたFluentd Meetupに参加してきた。

この手の勉強会に参加するのはすごく久しぶりだったが、懐かしい人たちにも会えて、とても楽しい時間をすごせた。


当日の発表については詳しいレポートを書いてくれている人がいるので、そちらを見てもらうとして、ここでは1つだけ取り上げたいと思う。

それは、GoogleのBigQuery。Google Japanの佐藤一憲さんの「毎秒10万件でもまだ軽い!Norikra+BigQuery+Dockerで10分でつくるリアルタイムログ解析基盤」というプレゼンで説明されたものだが、とにかくパフォーマンスがすごい。プレゼン中のデモで、ディスクに収められた5億件のデータをSQLでフルスキャンするのに3秒しかかからない。9億件のデータを正規表現を含んだSQLでスキャンしても、7秒で終わる(これ、記憶がちょっとあいまい。もう少しかかったかも)。これには驚いた。

佐藤さんがGoogleに入社して一番驚いた技術が、一般公開される前のBigQueryだったと言っていたが、その気持ちはわかる。

Google社内では、たとえばGoogle Playのダウンロード数からランキングを作るときなどに使われているそうだ。1分間に数億ダウンロードされるソフトウェアのログを解析して、リアルタイムにランキングを作って表示しているんだとか。


なんでもGoogleで「1TBのデータのスキャンを1秒以内に終わらせるにはどうすればよいのか?」という課題を立てて試行錯誤した結果、5000台のディスクにデータを分散させて並列処理すればよい、という結論に達したので、これを実践して規模を拡大したものがBigQueryなのだとか。アメリカ人らしい、力技の物量作戦に思えるけど、パフォーマンスは見事だ。しかし、Googleのデータセンターにはいったいディスクがどれだけあるんだろうか?

BigQueryは無償で試せるので、興味のある方は使ってみてほしい。


Google BigQuery https://cloud.google.com/products/bigquery/?hl=ja


最後に当日の詳しいレポートをまとめてくれている人のブログ記事をリンクしておく。




2014年5月11日日曜日

漢字の使い分け・ことばの表記を知りたければ用字用語辞典を使おう

最近自分の周りでことばの表記で悩んでいる人が少なからずいるようなので、編集者が表記を調べるやり方を書いておく。と言っても、要するに用字用語辞典を引くだけの話なんだけど、この用字用語辞典というものを知らない人がとても多い。

用字用語辞典とは何かというと、ことばの使い方や表記の仕方を解説した辞典だ。国語辞典は、ことばの意味を解説した辞典なので、国語辞典を調べても正しい表記の仕方はわからない。しかし、出版関連の職業についている人以外で、このことを知っている人はほとんどいないように思う。これは、日本の国語教育で、用字用語辞典の存在もその使い方も教えないからだろう。私自身も編集者になるまで、用字用語辞典を使ったことはなかった。


今を去ること30年近い昔、編集プロダクションに入社したばかりの私に社長が用字用語辞典を渡して「これをひと通り読んでおけ」と言った。当時の私は生意気盛りだったので、「何言っているんだ、辞典は引くもので読むものじゃないだろう」と反発したのだが、その心を見透かしたように社長は「何かを"こえる"というときに使う漢字には"超"と"越"がある。お前はこの2つの表記の違いを説明できるか。どう使い分けるかわかっているのか」と質問してきた。この質問に私は答えられなかった。


ここで、ちょっと手元にある東京堂の用字用語辞典から一部を引用してみる。

越える・越す:例、山を越える。五十の坂を越える。困難を乗り越える。峠を越す。冬を越す。一般的な表記。

超える・超す:例、百万を超える。党派を超えて。制限量を超す。慣用的な表記。一定の範囲から外に出たり基準を上回る場合に用いる。「越える」または、かな書きでもよい。


これを読めば、"超"と"越"の使い分けができる。驚いている私に、社長はさらに「一般の人が辞書を引くと言えば、それは国語辞典のことだ。編集者が辞書を引くと言えば、それは用字用語辞典のことだ。丸暗記するくらいの気持ちで読め」と言った。まぁ、丸暗記こそしていないものの、それ以来30年近い編集者生活で用字用語辞典ほど頻繁に参照しているものはない。好きにはなれない社長だったが、用字用語辞典を読ませてくれたことには感謝している。


さてもうひとつ、よく原稿の表記で直しているものの例をあげておこう。"是非"と"ぜひ"だ。東京堂の用字用語辞典から一部を引用してみる。

是非:例、是非を論じる。是非に及ばない。注、「ぜひ来てほしい」などの場合は、かな書きでよい。


用字用語辞典も各社から出版されているが、使い勝手がいいのはやはり東京堂の用字用語辞典だと思う。私が渡り歩いてきた編集プロダクション・出版社の編集者の多くが、この用字用語辞典を使っていた。ただ、残念なことに今は品切れ状態で、中古品以外は入手できないようだ。数年前に東京堂に問い合わせた際に、改訂作業中で現在のものを増刷することはないと言われたのだが、まだ改訂作業が終わっていないのだろう。辞典の改訂はたいへんな作業なので、まだ時間がかかるのかもしれない。

一応中古品であれば、amazonでも入手できるようなので、興味のある人は購入してみるとよいだろう。ほかにもっとよい用字用語辞典を知っている人がいれば、ぜひ教えてほしい。





2014年5月8日木曜日

Chef活用ガイドを出した


すでに発売されてから10日以上たっているが、「Chef活用ガイド コードではじめる構成管理」という本をだした。

Chefの本というと、伊藤直也さんが電子書籍としてセルフ出版した「入門Chef Solo - Infrastructure as Code」が著名だけど、「Chef活用ガイド」はChef-SoloではなくChef-Server構成に焦点を当ててがっつり解説したもの。なにせB5判変形で672ページ!

立派に自立しています!(笑)


書き下ろしでこれだけボリュームのある本を作るのは久しぶり。たぶん、「サーバサイドJavaScript Node.js入門」以来だと思う。

著者の澤登さんと樋口さんが、ほんとうにがんばって充実した内容を書き下ろしてくれた。最後の追い込みでは、短時間にこれだけのボリュームのある原稿をしっかり校正してくれて、心から感謝している。

著者のお二人からは「Chefの基本をしっかり書いていったら、こんなに増えてしまった」という発言が出ていたが、Chefの機能を網羅してきっちり解説したいい本になっていると思う。


監修をしてくれたクリエーションライン株式会社は、Chefの開発元であるChef Software, Inc.の日本におけるパートナーであり、本書の巻頭にもChef Software, Inc.からのメッセージが掲載されている。また、付録にはChefの公式ドキュメントの一部の翻訳が収録されていて、公式という言葉こそ使っていないものの、ほぼ公式解説書と言ってしまってよい本だ。

Chefをきちんと学びたい人には最適な本だと信じるので、分厚さに怖気づかずに手にとって見てほしい。Chef-Serverについてきちんと解説した本は、世界でも初めてだと言われているので、読んでおいて損はないはず!



Kindle版もあります。


あと、著者のお二人もブログで本書について書いてくれている。ぜひこちらも読んでほしい。




2014年5月1日木曜日

和楽器バンドのボカロ三昧がいい!



最近知ったのだけど、鈴華ゆうこという人がやっている和楽器バンド、これがいい!

子供の頃から詩吟をやっていたという鈴華ゆうこのボーカルを中心に、琴、三味線、尺八、和太鼓、さらにドラム、ベース、エレキギターを加えたバンド構成。名前のとおり、和楽器の入ったロックバンドなわけだ。

和楽器を入れたロックとかいうと、一歩間違えるとダサダサになってしまうのだけど、このバンドは音楽もビジュアルも全然かっこいい! 久しぶりにかっこいいなぁと思える日本人のバンドを見た。

メジャーデビューアルバムの「ボカロ三昧
」って、何かと思っていたら、これ、ボーカロイドの曲を取り上げたものなのね。ボーカロイドにはほとんど興味がなかったので、まったくわからなかった。で、原曲のボーカロイドバージョンとかも聞いてみたけど、やっぱり和楽器バンドのほうがずっといい。和楽器バンド、超お勧め。


ビジュアルといい、音楽といい、和の要素満載なので、海外に行ったらうけるだろうと思っていたら、今年7月にフランスで行われるジャパンエキスポへの出場が決まったそうな。いやぁ、日本好きのフランス人にはたまらないバンドだろうし、ぜひ海外でブレークしてほしいなぁ。

久しぶりにワクワクさせてくれるバンドを見つけた気がする。




ボーカルの鈴華ゆうこ、尺八の神永大輔、箏のいぶくろ聖志の3人でやっている華風月というユニットあるそうで、こっちも聞いてみよう。