2014年8月20日水曜日

魚のテリーヌ?



写真はイメージです(笑)


食品偽装とかそんな話をしていて、ちょっと昔の話を思い出したので。

もう10年以上前の話だが、知人の結婚式に妻と二人で出席したことがある。会場は地方のホテルで、まぁそれなりに高級そうなところ。式も滞り無く終わり、宴席となった。

フランス料理のフルコースというので、正直ちょっぴり期待していた。なにせ、そんな料理にはとんと縁がない人間なので。お品書きというのか、メニューというのか、これから出てくる料理が書かれた紙がテーブルに置かれていて、ますます期待が高まる。

で、その前菜のところに「魚のテリーヌ」というのがあったわけだ。うん。で、出てきた魚のテリーヌなんだが、丸い大きめの白い皿の真ん中に慎ましやかなひとかけらが鎮座していて、皿の周りに野菜がちょっぴり乗っている。まぁ、フランス料理らしい飾り付けで、それはいい。問題は真ん中に鎮座している魚のテリーヌだ。

これ、色といい、艶といい、形といい、どう見てもかまぼこにしか見えない。

不審に思って周りを見渡すと、結婚式に招待された皆さんがナイフとフォークを使って神妙にこの「魚のテリーヌ」を食べている。誰も疑問に思わないのか? これ、かまぼこでしょ! という、頭の上にクエスチョンマークが飛びまくる状態なのだが、誰も騒がず、キョロキョロしているのは私だけだ。隣では、妻が黙ってナイフとフォークでこの「魚のテリーヌ」を食べているし。仕方がないので、自分でもナイフとフォークで食べてみたよ、魚のテリーヌ。

口の中に広がる香りといい、味といい、プリプリとした食感といい、これかまぼこだよ、かまぼこ!

どうして誰も何も言わないの? なんで皆おすまし顔でナイフとフォークでかまぼこ食べてるの? おかしいよ! ついにがまんできなくなって、隣の妻の耳に顔を近づけて、

「これ、かまぼこだよね」

と言ったところ、妻がすごく怖い顔をして、

「そういうことを言うんじゃない!」

と囁いた。怒られてしまったので、仕方なく黙って食べたけど、ありゃあ、かまぼこだよ、かまぼこ! 「魚のテリーヌ」なんて料理じゃないよ、かまぼこ買ってきて、切って皿に盛り付けただけだよ。それともフランス料理には、かまぼこそっくりの味のする「魚のテリーヌ」という料理があるの? 私が知らないだけ? そんなわけないよね。

今だったら、食品偽装で訴えられるんじゃないかと思うんだが。あのホテルの「魚のテリーヌ」、今はどうなっているんだろう?



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