2015年11月3日火曜日

Star Wars英和辞典は読める辞書

先日書店で棚のチェックをした際に、ちょっと気になってスター・ウォーズ英和辞典 ジェダイ入門者編スター・ウォーズ英和辞典 ジェダイ・ナイト編 を買ってきた。
どちらもStar Warsに出てくるセリフを例文にした英和辞典だ。ジェダイ入門者編が中学英語、ジェダイ・ナイト編が高校英語になっている。英和辞典なので、当然のことながら英単語がアルファベット順に並んでいて、意味の解説があり、例文が紹介されている。しかし、単語の意味の解説は最小限で、例文については、それがStar Warsのどのエピソードの誰のセリフか、また必要に応じてどんなシチュエーションで発言されたものかが解説されている。辞典というよりは例文集というべき本。
たとえば、areの解説には、下記のように「Are you all right? LUKE V だいじょうぶかい?(湖の怪物に吐き出されたR2を気づかって)」のようにイラスト入りで記されている。

まぁ、Are you all right?なんて英文はどうでもいいつまらないものだし、通常の辞書なら気にもならないが、逆さになったR2-D2と駆け寄るルークのイラストを見て、映画のシーンを思い出すと、このつまらない英文がちゃんと生きたセリフとして聞こえてくる。これはいい!
さらにこの辞典には、CLASSIC PHRASE、FORCE PHRASEとして、映画の名言をそのシーンの写真といっしょに紹介してくれている。これがまたいい。

デス・スターに遭遇したときのルークのセリフ!

もちろん、この名言も!

読み始めると次々に映画のシーンが目に浮かんできて、楽しくてついつい読み進めてしまう。普通の辞典や例文集はだいたいつまらなくて、すぐに読むのがいやになってしまうのだが、この本は違う。Star Warsファンなら楽しみながら全部読めるはずだ。日本語で覚えていたセリフが、英語でなんと言っていたかわかるだけでもすごくおもしろい。C-3POがR2-D2によく言っている「おまえのせいだ!」というセリフが"This is all your fault!"だということも初めて知った。まぁ、こんな英文は覚えても使うことはないだろうけど。w
この辞典、本当は受験を控えた息子の勉強用に買ってきたのだけど(父の影響で大のStar Warsファン)、父親の私が読むのに夢中なので当分息子はお預けだ。w

2015年10月25日日曜日

フランクフルト・ブックフェア2015


フランクフルト・ブックフェア会場

フランクフルト・ブックフェアは、毎年10月にドイツのフランクフルト・メッセで開催される世界最大のブックフェアだ。世界中の出版社が一同に集い、版権売買をはじめ、さまざまな情報交換などを行っている。
昨年は例のドタバタ騒ぎ(嘉平、編集やめるってよ)の影響で参加できなかったが、今年はドワンゴから参加できたので簡単なレポートをまとめておきたい。

二年ぶりにフランクフルト・ブックフェアに参加してなにより驚いたのが、ブックフェアの規模が縮小していたこと。アスキーに入って以来20年以上フランクフルトにかよっているが、ブックフェアの規模が縮小したのは初めてだ。正直、これには衝撃を受けた。IT関連の老舗の出版社も軒並みブースを縮小しているし、中にはブースを持つことをやめてしまった出版社まである。
最近では、出版市場の縮小が続いているのは日本だけで海外では持ち直している、あるいは成長しているといった報道も見受けられるが、フランクフルト・ブックフェアの現状を見、そして海外出版社の版権担当者と話し合った限りでは、相当厳しい状況が続いていると思われる。日本はさらに厳しい状況にあるわけで、暗澹たる気持ちになった。
そのような中で気を吐いているのが、台湾を含む中国系出版社だ。二年前よりもさらにブースの規模を拡大しており、存在感が増している。日本のブースが年々存在感が薄れていくのと好対照だ。


こじんまりとした日本ブース

私がミーティングを持った出版社から、いくつかブースを紹介しておこう。


ホール全景

ホール全体はこんな感じで、各社のブースを訪れてはミーティングを繰り返すことになる。IT関連の出版社はホール4と6に集まっていたので、会期中はこの2つのホールを行ったり来たりしていた。


Elsevier

Elsevierは学術系の出版社で、コンピュータサイエンス、数学などの良書をだしている。版権担当者が中国人に変わり、さらに北京に版権部門を移動したと聞いてびっくり。なんでも中国の版権購入数はものすごい勢いで増加しているそうで、日本なんか話にならないらしい。今でこそ日本人がノーベル賞を取ったとかいって喜んでいられるけど、10年後にはひっくりかえっているんじゃないだろうか。


Wiley

IT関連出版社の老舗の1つであるWiley。ここはIT関連では、唯一大型のブースを出していた。


Pearson

こちらも老舗のPearson。実にこじんまりとしたブースで、びっくり。世界に冠たるメディア・コングロマリットのブースには見えない。IT関連としては、Addison-WesleyやPrentice-Hallなどを要する重要な出版社だけにちょっと気になる。


O'Reilly

O'Reillyはいつもと変わらず。


No Starch

No Starchは、サンフランシスコにあるIT専門の独立系出版社だ。十数年前に英語圏で大手出版社による中小IT系技術出版社の買収合戦があったのだが、No Starchはどこにも買収されることなく、独立を保った数少ない出版社の1つだ。フランクフルト・ブックフェアには、いつも社長のポロックが自らやってきて今後の刊行予定について説明してくれる。ポロックが「我々は他社が作るような本は作らない。No Starchは、他社が決して出さないユニークな本を作る」と言い切っているように、No Starchの本はユニークなものが多い。
常に優しい微笑みを絶やさず、穏やかに語るポロックだが、一本筋の通った気概ある出版人だ。これからの時代は、No Starchのような特長のある小出版社こそが輝くのではないかと思うので、がんばってほしい。


Packt Publishing

Packtは2004年にイギリスで創業したIT専門の新興出版社だ。創業者のDavid Macleanは、出版人というよりはベンチャー起業家というべき人物で、Packt以前にWroxという出版社を起業し、これをWileyに売却した後にPacktを創業している。
Packtは出版社としては特異で、書籍を印刷・製本して倉庫に在庫し、これを書店に流通させて販売するという一般的なビジネスを行っていない。Webサイトに書籍のカタログを掲載し、読者から注文が入るとオンデマンド印刷で注文された数だけ印刷・製本して、これを郵送するという直接販売のみのビジネスを行っている。現在は、オンデマンド印刷で制作する紙の本に加えて電子書籍の販売も行っているし、Amazonには本を卸すようになっているようだ。
また、マネージメント部門はイギリスにあるものの、編集・レイアウトなどを行う部門はインドに置いてコストダウンを図っているのも特徴的だ。通常の出版社にとって、編集部門を言語の違う海外に置くなどというのは考えられないことだ。
独自のビジネス展開によって、Packtは創業以来成長を続けている。注目すべき出版社の1つだと思う。


コスプレしているドイツの若者

5日間の開催日のうち、土曜日と日曜日は一般公開されるため、会場を訪れる人が一気に増える。また、多くの若者達が会場の中庭のようなところでコスプレを行っている。この賑やかさは例年どおりで、お祭りとしてはまだまだ人気があるようだ。


フランクフルトの観光スポット、レイマー広場

今年のフランクフルトは気温が低く(最高気温が4度とか)、5日間のうちほとんどが雨、雨がやんでいてもどんよりと曇っているというあいにくの天候だったので観光らしい観光もしなかった。出版ビジネスの将来を考えると不安も多いが、来年はもう少し明るい話題の多いブックフェアになることを祈って、レポートを終わりたい。

2015年7月20日月曜日

漫画の外道を突き進む世紀末シリーズ「北斗の拳 イチゴ味」を読んだ

一九九X年、世界は核の炎につつまれ、あらゆる生命体が絶滅したかにみえた。
だが意外とげんきだったし、現代の日本の若者に心配されるバイタリティに満ちあふれていた。
……
本屋の店頭で「北斗の拳」と書かれた漫画と懐かしい絵を見て、あれ? 北斗の拳が今頃何で出てるんだと手にとったのが運の尽き。なんだか雰囲気が違うなと、よく見るとタイトルに「イチゴ味」とか書いてある。驚くなかれ、北斗の拳のパロディ版だそうな。北斗の拳30周年記念の1つとして企画されたらしい。
その昔、BSD magazineのパロディ版に北斗の拳のパロディを掲載した身としては、読まないわけにはいかないだろう。ということで、4巻すべてを大人買い。
連休中に読んでいたのだが、けっこう笑える。なんといっても、絵がオリジナルにそっくりなのがいい。ケンシロウではなく聖帝サウザーが主人公になっているのも斬新。出てくるキャラが皆おバカで最高!
セリフだけちょっと抜き出すと、
ザコキャラ「おぉ聖帝様の姿が!!」
ラオウ「あの構えは…!!
サウザー「敵は全て下郎!!」
トキ「この局面で全力のダブルピース!!」
ラオウ「見事だ… 絶対奴とだけは戦いたくないものだな」
とか、
ジャギ「あ〜あ〜〜悪い事すんのもつかれたし虚しいし…あ〜〜 何やったってかなわねぇし」
ザコキャラ「ジャギ様… それは言っちゃダメですよ…」
ジャギ「でも胸に七つの傷つけちゃったしさぁ?」
ザコキャラ「シャツっス シャツ着れば大丈夫っス!!」
ジャギ「……変わりたいなぁ」
ザコキャラ「変わりましょうっ 変わりましょうよ ジャギ様!!!」
ジャギ「……変わりたいよぉ ぐすっ」
ザコキャラ「泣いたら負けですよ ジャギ様!!!」
とか。漫画を文字だけにするとちっともおもしろくないけど、北斗の拳ファンなら絶対笑えると思う。ぜひ読んで欲しい。
コミックの帯に「まさかの累計100万部突破!! 今秋TVアニメ化」と書かれているけど、ほんとにアニメにするのか? したら絶対見るけど。だいじょうぶなんだろうか?

2015年7月1日水曜日

The Art of Computer Programming Volume 1 Fundamental Algorithms 日本語版


2004年にアスキーから出した『The Art of Computer Programming Volume 1 Fundamental Algorithms Third Edition 日本語版』をようやく再刊できた。

この本は、アジソンウェスレイジャパンとの共同出版事業の一環として刊行したもので、上製本、本体価格9,800円と、アスキーの刊行物の中でもかなり高価なものだった。アスキーから出すことが決まった後、担当編集者がリストラにあって変わってしまったり、なんだかんだと苦労させられた本だ。刊行後に社長賞をもらったのは、いい思い出かな。

しかし、会社の収益が悪化し、このシリーズは採算が合わないと言われ、増刷ができない状態が長く続くことになる。海外でもアジソンウェスレイがピアソンに吸収合併され、アジソンウェスレイジャパンもピアソン・エデュケーションジャパンに変わった。そして2014年、ピアソン・エデュケーションが日本の書籍市場から撤退し、共同出版の契約も破棄されることが決定した。当時KADOKAWAのハイエンド書籍編集部編集長だった私は、KADOKAWAとして版権を取得し直し、シリーズを再刊することを提案したが、不採算を理由に却下され、このままThe Art of Computer Programmingは日本の書店から消え去ると思われた。

ところが世の中捨てものじゃない。捨てる神あれば拾う神あり、「嘉平、編集やめるってよ」「ASCII DWANGOスタートアップ!」の2つのエントリに書いたとおり、ドワンゴに移籍して技術書の出版を続けられることになり、最初に私が提案したのがThe Art of Computer Programmingのシリーズをアスキードワンゴから再刊することだ。ありがたいことにドワンゴの人たちは技術者で、この本の価値をわかっている人ばかりなので、すんなりと企画は通った。なにせ、上司の本棚にはThe Art of Computer Programmingの原著が並んでいるのだ!

あれから半年あまり、ようやく最初の1冊めを書店に並べることができた。これも、ドワンゴの人たちと4月から編集部に加わってくれた仲間の力のおかげだ。ありがとう!
11年前の本との違いは、上製本を並製本に変更し、大幅に価格をさげたこと。アスキーではいろいろなしがらみから高くせざるをえなかったのだが、今回は学生さんにも手がだせる価格にしようと頑張って、4,800円に抑えている。

プログラミングに関わるすべての人に、ぜひ手にとってもらいたいので、よろしくお願いいたします!

2015年6月25日木曜日

ブログをBloggerに移動

このブログは、もともとは自宅サーバ上にZope/COREBlogをインストールして始めたものだったが、その後Plone/COREBlogに移行し、さらに自宅サーバからレンタルサーバに移設、さらにPlone/COREBlogからMovable Typeに変更するという紆余曲折を経てきている。
で、最近サーバのお守りをするのが面倒くさくなったので、既存のブログサービスに移動させることにした。どこにするか、ずいぶん迷ったけれども、結局はGoogleのBloggerに決めた。
データの移行もスムーズにできたし、よかったのだが、一つだけ問題が生じている。
以前のブログでは、エントリのURLが、http://www.kahei.org/blog/2015/06/hogehoge みたいになっていたのだが、これが、http://www.kahei.org/2015/06/hogehoge のように変更されてしまった。hogehogeの部分も、エントリによっては変更されているようだ。
以前リンクを張ってくれたものは、すべてリンク切れになってしまったわけで、申し訳ないのだが、まぁしょうがないか。

※お手数をお掛けして申し訳ないのですが、必要な方はリンクを張り直してください。よろしくお願いいたします。

2015年3月3日火曜日

誕生日のヒットソングを教えてくれるサイト


自分の誕生日のNo.1ヒットソングを教えてくれるサイトがあるというので、やってみた。

http://playback.fm/birthday-song

私の誕生日である1961年1月30日のNo.1ヒットソングは、Will You Love Me Tomorrow by The Shirellesだそうな。



自分の誕生日を検索すると、ヒットソング以外にも生まれた日の曜日と生まれてから現在までの分数を教えてくれる。

私の誕生日は月曜日で、生まれてから28,447,722分たっているそうだ。

誕生日でなくても、1900年〜2014年の好きな日付のヒットソングを教えてくれるので、ちょっと気になる日付を入力して調べてみるのもおもしろい。暇な時などにやってみるといいかも。


2015年2月26日木曜日

元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略


元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略』を読んでみたのだが、なかなか興味深い内容だったので書評なんぞを。

もともと宝塚に興味はなかったし、"ベルばら"とか、女性が男性を演じる男役とか、派手な衣装・濃いメイク・大げさな演技とか、正直あまりいい印象は持っていなかった。まぁ、宝塚を実際に観たことのない男性が抱く印象としては普通だと思う。ところが、数年前からハマっている日本のシンフォニックメタルバンドLIV MOONのリードボーカルを務めてるAKANE LIVが宝塚出身(宝塚時代の芸名は神月茜)ということで、がぜん興味を持つようになった。何冊か宝塚関連の本も読んでみたのだが、本書は宝塚出身の女優さんでもファンでもない、宝塚の経営メンバーが書いているという異色の本だ。



LIV (通常盤)
AKANE LIV
B00MUCL3ES



さて、その宝塚とはどんなものかというと、兵庫県宝塚市に本拠地を置く、独身女性のみで構成される日本で最大規模を誇る(約400名)劇団(宝塚歌劇団)ということになる。1914年、阪急電鉄の旅客誘致を目的に宝塚新温泉の余興として始まったのが事業のスタートで、当初は歌劇団自体で利益をあげる必要はなかったとか。すでに100年を越える歴史を持ち、現在では阪急グループの収益の3本柱の一つに成長しているという。演劇は儲からないとよく聞くが、宝塚は儲かっているわけだ。本書には、儲かっている宝塚のマーケティング・経営戦略が書かれている。

以下、宝塚の戦略の肝というべき点を抜粋する。


  1. 創って作って売る(垂直統合システム)

    事業の垂直統合というと自動車産業や家電産業で聞く言葉だが、宝塚はエンターテイメントの世界でこれを実現しているという。

    • 宝塚歌劇団:作品制作(企画・脚本ほか)

    • 株式会社宝塚舞台:大道具・小道具・衣装作成ほか

    • 阪急電鉄株式会社歌劇事業部:広報宣伝・チケット販売ほか


    これらすべてが本拠地である宝塚市に集中して置かれ、事業の効率化を実現している

  2. シロウトの神格化

    宝塚音楽学校を卒業し、歌劇団に入団したばかりの生徒はまだ未完成の状態(つまりシロウト)。この未完成の生徒をファンコミュニティが支え・見守りながら、トップスターまでの長い道のりを共に成長していくプロセスを「シロウトの神格化」と呼ぶ。

    宝塚には、入団した生徒がトップスターに至るまでに越えなければいけない独自のステップが設けられている。このステップをファンもよく理解しており、自分が贔屓にしている生徒がこのステップを越える・越えないというのを一喜一憂しながら、その成長と卒業までを見守ることになる。


本書の後半では、宝塚とAKB48との比較が行われているが、「シロウトの神格化」という戦略をとっている点はほぼ同じと言っていい。秋元康がAKB48を作る際に宝塚を参考にしたのは、まず間違いないと思われる。怒られるのを覚悟で言えば、宝塚の戦略を模倣して大成功を収めたのがAKB48ということになる。

「シロウトの神格化」という戦略は、近年よく聞く「ストーリーを売る」「コンテンツよりもコンテクスト」といったキーワードとも符合する。エンターテイメント以外のビジネスにも十分応用可能な戦略であるし、ほかにも興味深い内容が多く含まれているので、ぜひ一読をお勧めする。


Kindle版

元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略 (角川oneテーマ21)
森下 信雄
B00RSVCDFE


元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略 (角川oneテーマ21)
森下 信雄

元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略 (角川oneテーマ21)
「メジャー」を生みだす マーケティングを超えるクリエイターたち マーケット感覚を身につけよう スピーチライター 言葉で世界を変える仕事 (角川oneテーマ21) アルゴリズムが世界を支配する (角川EPUB選書) 新訳 道は開ける
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2015年2月23日月曜日

ユニケージ原論


ユニケージ原論



数年前にLLカンファレンスの会場で購入したまま積ん読状態だった「ユニケージ原論」を読んだ。

アスキー・メディアワークスから出した「フルスクラッチから1日でCMSを作る シェルスクリプト高速開発手法入門」で紹介した、シェルスクリプトを使って本格的なアプリケーションを作るという開発手法の原典ともいうべき本。具体的な開発手法を詳しく知りたいと思って読んだのだが、タイトルに"原論"とあるとおり、抽象的な議論が多くてちょっと私が読みたいと思っていたものとは違っていた。

下記、章立てと簡単な内容紹介。


  • 第1章 ユニケージとはなにか

    ユニケージ開発手法を考案した當仲寛哲氏によるユニケージの誕生から開発手法の概要の解説。この章を読めば、ユニケージ開発手法の全体像がつかめる。

  • 第2章 ユニケージは道具である

    株式会社良品計画(無印良品の会社)のシステム開発にユニケージ開発手法を適用した事例紹介。ずぶの素人が短期間に企業システムの開発・保守ができるようになるというのが、なかなか刺激的。

  • 第3章 ユニケージは方法論である

    この章は、ちょっといろいろ微妙。読まなくていいかも。

  • 第4章 ユニケージは正解である

    従来のRDBを用いたシステム開発とRDBを用いないユニケージ開発との違いが解説されている部分が興味深い。

  • 第5章 ユニケージはコミュニケーションである

    ユニケージ開発手法のキーフレーズを元に、従来の開発手法との比較も含めてユニケージの優位性を解説している。


ユニケージ開発手法を簡単に説明するなら、

RDBに代表されるデータベースシステムを一切用いず、データをすべてテキストファイルで保持し、シェルスクリプトを使ってこれらのテキストファイルを処理することで企業システムを実現する

とでもなるだろうか。この話を初めて聞いたときは、さすがにそれは無茶だろうと思ったのだが、良品計画・東急ハンズなどの成功事例を目にすると、実はUnixが持っていたシンプルなツールと考え方ですべて実現できるんだという気持ちにさせられる。

というわけで最近シェルスクリプトづいていて、いろいろ勉強し直し中だ。20代の頃に読んで感動した「UNIXプログラミング環境」を読み返そうと思っている。



ユニケージ原論
當仲 寛哲 山崎 裕詞 熊谷 章 熊野 憲辰 木ノ下 勝郎 山科 敦之

ユニケージ原論
覚えて便利 いますぐ使える!シェルスクリプトシンプルレシピ54 プログラミング言語AWK フルスクラッチから1日でCMSを作る シェルスクリプト高速開発手法入門 USP MAGAZINE vol.15 USP MAGAZINE vol.14
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2015年1月4日日曜日

ASCII DWANGOスタートアップ!


昨年10月に「嘉平、編集やめるってよ」というエントリを書いてから3ヶ月が過ぎ、ようやく身の振り方が確定したのでご報告しておきます。

12月24日に正式なプレスリリースが出ましたが、私が編集長を務めていた株式会社KADOKAWA(アスキー・メディアワークスBC)ハイエンド書籍編集部の事業を株式会社ドワンゴが引き継ぎ、アスキードワンゴ編集部として事業を継続することが決まりました。

これに伴い、私は12月15日付けで株式会社KADOKAWAを退職し、株式会社ドワンゴに転籍しました。今後はアスキードワンゴ編集部編集長として、編集職に復帰することになります。10月以降、人事本部付という中途半端な状態で無為な日々を過ごしてきましたが、ようやく自分が行うべき仕事に戻れてホッとしています。


ハイエンド書籍編集部の事業継続のきっかけを作ってくれたドワンゴの清水さん、そして川上会長をはじめ事業の移転と私の転籍を実現するために尽力してくれた多くの方々に心から感謝します。ほんとうにどうもありがとうございました。また、身の振り方が決まらず鬱々としていた私を励ましてくれた皆さん、うちの会社においでよと転職を勧めてくれた皆さんにも感謝しています。私のような人間のことを気にかけてくれる人がこんなにいるのかと、大いに励まされました。


今はとにかく編集部を再建し、4月以降にはアスキードワンゴブランドの技術書を書店に並べられるよう、努力する毎日です。また、将来的には出版社ではないIT企業であるドワンゴの力を使って、今まではできなかった新たな取り組みにもチャレンジしたいと思っています。まだ入社して2週間足らずですが、ドワンゴには22年前のアスキーにも似た若さと勢いを感じます。この会社ならばきっと新しいことができると信じていますので、著者の皆様、翻訳者の皆様、いましばらく鈴木嘉平とのお付き合いをよろしくお願い致します。

また、読者の皆様、開発者のために役立つ良質な技術書を出版できるよう鋭意努力を続けていきますので、今後共どうかよろしくお願い致します。