2015年7月20日月曜日

漫画の外道を突き進む世紀末シリーズ「北斗の拳 イチゴ味」を読んだ

一九九X年、世界は核の炎につつまれ、あらゆる生命体が絶滅したかにみえた。
だが意外とげんきだったし、現代の日本の若者に心配されるバイタリティに満ちあふれていた。
……
本屋の店頭で「北斗の拳」と書かれた漫画と懐かしい絵を見て、あれ? 北斗の拳が今頃何で出てるんだと手にとったのが運の尽き。なんだか雰囲気が違うなと、よく見るとタイトルに「イチゴ味」とか書いてある。驚くなかれ、北斗の拳のパロディ版だそうな。北斗の拳30周年記念の1つとして企画されたらしい。
その昔、BSD magazineのパロディ版に北斗の拳のパロディを掲載した身としては、読まないわけにはいかないだろう。ということで、4巻すべてを大人買い。
連休中に読んでいたのだが、けっこう笑える。なんといっても、絵がオリジナルにそっくりなのがいい。ケンシロウではなく聖帝サウザーが主人公になっているのも斬新。出てくるキャラが皆おバカで最高!
セリフだけちょっと抜き出すと、
ザコキャラ「おぉ聖帝様の姿が!!」
ラオウ「あの構えは…!!
サウザー「敵は全て下郎!!」
トキ「この局面で全力のダブルピース!!」
ラオウ「見事だ… 絶対奴とだけは戦いたくないものだな」
とか、
ジャギ「あ〜あ〜〜悪い事すんのもつかれたし虚しいし…あ〜〜 何やったってかなわねぇし」
ザコキャラ「ジャギ様… それは言っちゃダメですよ…」
ジャギ「でも胸に七つの傷つけちゃったしさぁ?」
ザコキャラ「シャツっス シャツ着れば大丈夫っス!!」
ジャギ「……変わりたいなぁ」
ザコキャラ「変わりましょうっ 変わりましょうよ ジャギ様!!!」
ジャギ「……変わりたいよぉ ぐすっ」
ザコキャラ「泣いたら負けですよ ジャギ様!!!」
とか。漫画を文字だけにするとちっともおもしろくないけど、北斗の拳ファンなら絶対笑えると思う。ぜひ読んで欲しい。
コミックの帯に「まさかの累計100万部突破!! 今秋TVアニメ化」と書かれているけど、ほんとにアニメにするのか? したら絶対見るけど。だいじょうぶなんだろうか?

2015年7月1日水曜日

The Art of Computer Programming Volume 1 Fundamental Algorithms 日本語版


2004年にアスキーから出した『The Art of Computer Programming Volume 1 Fundamental Algorithms Third Edition 日本語版』をようやく再刊できた。

この本は、アジソンウェスレイジャパンとの共同出版事業の一環として刊行したもので、上製本、本体価格9,800円と、アスキーの刊行物の中でもかなり高価なものだった。アスキーから出すことが決まった後、担当編集者がリストラにあって変わってしまったり、なんだかんだと苦労させられた本だ。刊行後に社長賞をもらったのは、いい思い出かな。

しかし、会社の収益が悪化し、このシリーズは採算が合わないと言われ、増刷ができない状態が長く続くことになる。海外でもアジソンウェスレイがピアソンに吸収合併され、アジソンウェスレイジャパンもピアソン・エデュケーションジャパンに変わった。そして2014年、ピアソン・エデュケーションが日本の書籍市場から撤退し、共同出版の契約も破棄されることが決定した。当時KADOKAWAのハイエンド書籍編集部編集長だった私は、KADOKAWAとして版権を取得し直し、シリーズを再刊することを提案したが、不採算を理由に却下され、このままThe Art of Computer Programmingは日本の書店から消え去ると思われた。

ところが世の中捨てものじゃない。捨てる神あれば拾う神あり、「嘉平、編集やめるってよ」「ASCII DWANGOスタートアップ!」の2つのエントリに書いたとおり、ドワンゴに移籍して技術書の出版を続けられることになり、最初に私が提案したのがThe Art of Computer Programmingのシリーズをアスキードワンゴから再刊することだ。ありがたいことにドワンゴの人たちは技術者で、この本の価値をわかっている人ばかりなので、すんなりと企画は通った。なにせ、上司の本棚にはThe Art of Computer Programmingの原著が並んでいるのだ!

あれから半年あまり、ようやく最初の1冊めを書店に並べることができた。これも、ドワンゴの人たちと4月から編集部に加わってくれた仲間の力のおかげだ。ありがとう!
11年前の本との違いは、上製本を並製本に変更し、大幅に価格をさげたこと。アスキーではいろいろなしがらみから高くせざるをえなかったのだが、今回は学生さんにも手がだせる価格にしようと頑張って、4,800円に抑えている。

プログラミングに関わるすべての人に、ぜひ手にとってもらいたいので、よろしくお願いいたします!